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カネで不当解雇し放題制度が目前!実は労働者にメリット?解決金額は?

構成=編集部
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佐藤 労働審判手続で和解が成立しない場合、審判官と審判員から解雇が有効か否かについて「審判」が言い渡されますが、どちらかの当事者が異議を申し出れば訴訟に移行します。

 労働審判は裁判所の手続なので、当事者に対しては比較的大きな影響力を持ちますが、最終的に当事者が納得して審判を受け入れなければ効果はありません。労使の意見対立が極めて激しい場合、初めから訴訟手続に入る場合もあります。このような場合、紛争長期化は避けられません。

 そこで制度としての解決金が役に立つかというと、意見対立の激しい事案で「妥当な解決金の水準」を法律で定めるのは極めて難しいでしょう。解決金の水準がよほど高くない限り、労働者側が納得できるとは考えにくいからです。この意味で、解決金制度を紛争解決の早期化のために使うのは現実的になかなか難しいと思います。

選択肢の幅は広がるのか

–では、「選択肢の多様化」の手段として使うということになるのでしょうか。

佐藤 解決金制度を選択肢の多様化の手段として使えば、労働者側が抱える行動上のジレンマが解決する可能性があります。

 現在は、法律上無効と考えられる解雇に対する「補償金」のような名目で、一種の解決金に対する支払請求権を労働者に認める法制度がありません。労働者側が本音では「お金を払ってもらうことで決着したい」と思っている場合でも、建前上は復職を希望する必要が出てきます。つまり、解雇無効を前提にした「雇用契約に基づく従業員の地位確認請求」をせざるを得ません。

 従って、使用者側に「わかりました。復職を認めます」と判断されると、かえって労働者側は困ってしまいます。

–使用者側が復職を受け入れないのを期待しつつ、できるだけ解決金の水準を引き上げる目的で「復職を求める」のは明らかに不自然ですね。

佐藤 その通りです。また、「解雇無効だから雇用契約は継続している」と主張しながら、現実には転職先を探さざるを得ないことも多いでしょう。しかし、従業員の地位に基づいて賃金支払いを求めながら別の会社で働くのは矛盾しており、請求の正当性に疑いが生じかねません。

 さらに、自分の能力と努力で転職先を見つけると、復職の必要がないということになり、不当な解雇を受け入れるのと同じ結果になってしまいます。これでは、労働者側は納得感を得られないでしょう。

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11:30更新
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