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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

千円超で「安くない」コメダ、異常な心地良さの謎…店員が客に勝ってしまうスタバと真逆戦略

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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千円超で「安くない」コメダ、異常な心地良さの謎…店員が客に勝ってしまうスタバと真逆戦略の画像1階段のないコメダの郊外型店

 コメダ珈琲店の店舗数が700店を超えた。首位のスターバックスコーヒー(1198店/2016年6月末現在)、2位のドトールコーヒーショップ(1109店/同年8月末現在)との差は大きいが、国内店舗数では3位で、少しずつ差を縮めている。10月19日に開業した「コメダ珈琲店 長崎時津店」(同県西彼杵郡時津町)は、最寄り駅から離れた場所ながら当日朝の開店前に約20人が行列したという。16年中に沖縄県を除く九州全県に出店する予定だ。

 運営するコメダホールディングスは、6月に株式上場も果たした。株価は伸び悩むが、足元の業績は好調だ。10月12日に発表された17年2月期の第2四半期決算では、売上収益(一般の会社の売上高)、営業利益、税引前利益ともに増収増益となっている。

 そんなコメダを長年取材してきた筆者は10月28日、『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)という本を上梓した。そこで今回は、一連の取材を通じて知った、スタバやドトールとは真逆な「お客の居心地への追求」手法を紹介したい。一般消費者への訴求を考えるビジネスパーソンのヒントとなれば幸いだ。

「階段で上がる店舗」にしないワケ

 写真でもわかるように、コメダの郊外型店舗の建物は山小屋風だ。競合店が相次いで模倣した外観で、今では珍しい造りではないが、例えば次のような特徴がある。

・階段で上がる店にはしない
・建物の周辺に高くなる樹木は植えない

 郊外型の外食店のなかには、建物の階段を上がったところに入口がある店も多い。店への期待感やワクワク感につながる設計だが、コメダの店はそうした設計にはしない。普通に歩くうちに店の入口に到達するようになっている。もともと気軽に来店してもらうための工夫だったが、高齢化社会の現在ではバリアフリーの役割も果たしている。

 また、建物自体も仰ぎ見るような高さではなく、どっしりした造りで、周辺に植える樹木も高くなる種類は取り入れず、適度な高さの樹種を選ぶという。

「たとえば、クルマで来店されたお客さんが窓側の席に座った時、樹木越しに自分のクルマを見ることができます。でも外からは自分が座っているのが見えない。ちょっとした隠れ家感覚が持てるように設計してきました」(店舗開発を統括するコメダ専務の高橋敏夫氏)

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