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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

マイホーム建設で私が味わった地獄…要望を業者が何度も無視して工事、業者が突然倒産

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
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 私の自宅も小規模な工務店に発注して重量鉄骨で建てましたが、大手の木造と同等の金額で収まりました。

 しかし、この値段の安さが業者の首を絞める一因だったのかもしれません。あとから聞いた話ですが、この業者の利益率は業界平均と比べてかなり低かったようです。顧客にとっては嬉しいことですが、過度な値引き要求には注意が必要だということがわかります。業者側は利益を出さないといけないので、値引きした分はどこかで帳尻を合わせないといけない。すると、設計した時の仕様と違ったり、手抜き工事につながる、ということが起こりやすいわけです。

 そのため、相見積もりや値引き交渉は必要だとしても、根拠のない値引きの要求ではなく、「ここをこう変えよう」「これはやめよう」といった打ち合わせのほうが、無理がないと考えられます。

工務店選びの基準

 次に、どういう基準で工務店を選ぶのかについて、考えてみます。ひとつは、地元で長くやっている小さな工務店に直接発注することが考えられます。地元に根付いて長くやっている工務店は、悪い評判が立つと経営が成り立ちませんから、誠実に施工しようとするでしょう。もちろん上場している大手企業はコンプライアンスには厳しく、その点では同じですが、地場業者の場合、ひとつのクレームが死活問題になるからです。

 また、お互い地元ということで顔が見え意思疎通もできますし、大手のように営業担当者が異動などで変わることも少ないので、話が通じなくなったりすることも避けられます。

 軽微な修理なども、いちいち発注して見積書を取ったりすることもなく、電話一本で、「あ、それなら○○円くらいでできますよ」とすぐ対応してくれる、といった業者もあるでしょう。

 私はこうした点をほとんど考慮せず、会社ができてから10年に満たない業者と契約しました。もちろん担当者は経験豊富で、フットワークも軽く信頼できる人だったので、気にすることもなかろうと思っていました。が、会社としての経営基盤は盤石ではなかったようです。

 長年の実績があれば、平成不況やリーマンショックなどさまざまな経営危機を乗り越えているということですから、そうした判断材料も必要だったのかもしれません。心配な場合は帝国データバンクや東京商工リサーチなどで財務状況に関する情報を入手するという方法もあります。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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