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任侠山口組が「織田代表襲撃事件」の報道に反論! 亡き組員の名誉を守るための異例の通知が……

文=沖田臥竜/作家
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任侠山口組が「織田代表襲撃事件」の報道に反論! 亡き組員の名誉を守るための異例の通知が……の画像19月28日に定例会が行われた古川組本部。

 またしても、兵庫県尼崎市が物々しい雰囲気に包まれることになった。

 任侠山口組が、9月12日の織田絆誠代表襲撃事件の犠牲者となった同組組員・楠本勇浩さんを偲ぶ会に続いて、28日にもまた尼崎市内に本拠地を置く任侠山口組系古川組で定例会を開催させたからだ。

 警察関係者によれば、毎月、尼崎市内で行われている定例会では、開催地となる本部事務所の周辺に組員らの乗る待機車両などが集まることで、地域住民からもたびたび苦情が寄せられているという。さらに今回は、定例会が終了した夕刻、阪神尼崎駅付近にある繁華街に組関係者と思われる男性らが20人以上現れ、地元警察が駆けつける事態にまで発展している。

「もうたくさん集まってきたので、何か起こるんではないかと怖くなり、店の看板の電気を消して鍵を閉めて店の中に隠れていました」

 長年、駅近くで飲食店を経営しているスナックのママは、異様な光景を目の当たりにし、このように話していた。

 そうした背景の中で開催された定例会だが、偲ぶ会同様に、今回も組員の死が悼まれたのではないか、と関係者らは話している。そして、定例会終了後には、このような通知が発信されたという。

「御通知
9月12日の代表襲撃事件について、マスコミを通じて間違った情報が拡散されている。(略)楠本勇浩の名誉の為、現場での事実をありのまま報告する。末端組員に至るまで伝達するように!(後略)」

 こう始まる文面には、被害者側となる任侠山口組サイドから事件現場での出来事が詳細に再現されていた。

 この通知では、「①まず二人が車の横で口論となった、②撃ってみんかいと楠本が挑発した、③だから撃たれて亡くなった」(「御通知」より)とされている現在のマスコミの論調を否定している。

 楠本さんは、織田代表が乗った車を銃撃しようとしていた菱川容疑者に体当りし、格闘を展開。ほかの組員からの「車に戻れ」という指示を受けて菱川容疑者から離れるも、織田代表の乗った車が逃げ遅れて、まだ射程圏内いたことを危惧した楠本さんは、時間稼ぎのために自ら手を広げて「こっちや! 撃ってみんかい!」と叫び、まさに“人の盾”になったというのだ。結果、楠本さんは銃撃され、織田代表の車は現場を離れることができたわけだ。通知は「楠本こそ【真の任侠】である」という言葉で締められている。

 長年ヤクザ取材を続けているジャーナリストが「抗争事件において、被害を受けた当事者からこうした通知が発信されるのは初めてではないか」と語っているように、これほど生々しい内容が内部から漏れ伝わってくるのは異例のことだ。

 関係者らの話を踏まえると、今回、任侠山口組は、組員向けに発信した内容が外部に漏れ伝わるのは承知の上で流しているとみられており、その上で間違った報道をただし、事件内容を明確にしたいという意志が働いているとも思える。

依然として全国指名手配されている中で

 現在においても、加害者とみられる菱川容疑者は全国に指名手配されているが、逮捕には至っていない。これについて、ある関係者はこのような見解を述べている。

「抗争事件で拳銃を使い射殺事件を起こせば、たとえ被害者が1人であったにせよ、無期懲役という、かつてよりも重い判例が定着してきている。六代目山口組分裂後に起きた長野県の射殺事件(2015年10月に神戸山口組に移籍しようとした組員が射殺された事件)でも、被告人に無期懲役が求刑されている。岡山の控訴審判決(16年5月に神戸山口組系組織の若頭が射殺された事件)でも、犯人は無期懲役だった。これらを考えた場合、容疑者が自ら出頭する可能性は低いのではないか。それに、今回の事件で逃亡中の菱川容疑者が逮捕されれば、埼玉で起きた発砲(16年2月に神戸山口組系組織の会長宅が発砲された事件)のように、組織トップの責任が問われることが考えられる。どう考えても、進んで出る(出頭する)とは考えにくい」

 逮捕されることによって、加害者が無期懲役の重刑を負う可能性が高いというだけでなく、当局サイドは組織的関与の疑いも持つだろうと指摘しているのだ。

 一方、当局の手は、六代目山口組にも急激に伸びている。飲食店などから「みかじめ料」を受け取ったとして、現在、六代目山口組傘下の三代目弘道会・竹内照明会長が逮捕されているのだが、今後も愛知県警は、みかじめ料を受け取っていたと思われる幹部組員らや、そこから上納を受けていた上部団体の幹部を次々と検挙していく方針とみられている。

 当局の介入によって、本抗争への突入こそ避けられているようにみえるが、ヤクザの抗争が必ずしも裁判での量刑や社会情勢を踏まえて起きるとはいえない。沈黙の中、織田代表襲撃事件が突如起こったように、3つに山口組が割れた以上、いつ何が起きても不思議ではない状況が現在も続いている。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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