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栄養ドリンクやサプリ、常用で健康破綻の恐れも…「疲労感なき疲労」が一番危険

文=森井隆二郎、昌谷大介/A4studio
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栄養ドリンクやサプリ、常用で健康破綻の恐れも…「疲労感なき疲労」が一番危険の画像1「Thinkstock」より

 2017年、働き詰めだったビジネスパーソンたちは1年の疲れがたまっていることだろう。

 特に仕事の繁忙期などは、「栄養ドリンクサプリメントを摂取して、なんとか乗り切った」という人も少なくないかもしれない。しかし、それは本当の意味で疲労回復になっているのだろうか。騙し騙しでやってきたツケは、年末にたっぷり蓄積されているはずだ。

 1年の疲れは、来年に持ち越さず年内に回復しておきたい。では、年末に疲労回復するための有効な方法は何か。疲労科学が専門の関西福祉科学大学健康科学科教授の倉恒弘彦氏に聞いた。

過労死にもつながる、危険な「疲労感なき疲労」

「栄養ドリンクやサプリメントは、まず正しく用いるのが大前提です。疲労回復に『まったく効果がない』ということはありませんが、それらを過信するのは禁物です」(倉恒氏)

 倉恒氏は、「まず、そもそも何をもって『疲労』とするかを考える必要があります」と続ける。

「日本疲労学会は『疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である』と定義しています。これにのっとって説明します。

 これを踏まえた上で、『疲労』と『疲労感』という語句も区別して扱う必要があります。疲労は、『心身への過負荷により生じた活動能力の低下』を指します。その一方、疲労感は『疲労が存在することを自覚する感覚』です。

 少しややこしいですが、『疲労なき疲労感』という概念もあれば『疲労感なき疲労』という概念もあるのです。たとえば、口では『疲れた』と言っていても、実際には身体が元気なら『疲労なき疲労感』が当てはまるでしょう。

 しかし、逆に『疲労感なき疲労』になると、身体がひどく疲れていることに気付けないまま働き続け、結果的に過労死に陥ってしまうケースもあり得るわけです」(同)

 仕事に没頭するビジネスパーソンのなかには、「疲労感なき疲労」に襲われているケースもあるかもしれない。では、どのようにセルフマネジメントすればいいのだろうか。

「本人に自覚がないわけですから、客観的な疲労検診などで自分の状態をチェックしておく必要があります。医療機関できちんと血液検査をしたり、自律神経のバランスの乱れや睡眠の覚醒リズムをチェックしたりする。日中の活動量や睡眠の質を維持できているかどうかも大事です。自覚症状とは別の客観的指標で疲労状態をチェックするように心がけることが、有効なセルフマネジメントとなります」(同)

 また、一口に「疲労」といっても、当然ながらその度合いには差がある。そのため、段階的に区別しているという。

「数日休養すれば健康な状態に戻る段階を『急性疲労』と呼んでいます。長時間の作業や激しい運動をした日に『疲れたな』と感じることがあると思いますが、きちんと睡眠を取って休養すれば回復する場合は、生理的な『急性疲労』です。

 しかし、数日休んだ程度では回復せず、たとえば1カ月以上にわたって疲れが取れないような場合は『遷延性(せんえんせい)疲労』と呼ばれる段階になります。そして、さらに深刻な状態が『慢性疲労』です。これは、きちんと休養を取っていても半年以上、疲労が取れない状態が続く段階をいいます。

『急性疲労』の場合は、休養が取れるのであれば病院に行かなくても大丈夫ですが、『遷延性疲労』や『慢性疲労』の場合は、医師の診断を受けて適切な処置や治療を施したほうがいいでしょう。

 ちなみに、2012年に行われた名古屋地区の一般住民2000名を対象にした医学調査では、39%の人が『半年以上、疲れが続いている』と回答していました。この結果を踏まえると、『約4割の人が慢性疲労の状態である』と推察できます」(同)

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