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田中圭太郎「現場からの視点」

東京五輪パラ、新国立に重大懸念…最寄り駅エレベータ閉鎖か 障害のある人の移動妨げ

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

 韓国・平昌では、オリンピックに続いてパラリンピックが3月9日から18日の日程で開催。日本選手団の活躍は日本でも連日報じられた。筆者は数日間平昌を訪れ、開会式と競技のほか、交通機関などのバリアフリーがどのように整備されているかを取材した。その理由は、東京2020パラリンピックまであと2年半に迫ったが、東京の交通機関が障害のある人にとって使いやすいものなのかどうか、疑問を持ったからだ。東京2020の選手や観客の移動について、平昌パラリンピックから考えてみたい。

平昌パラリンピックは「成功」

 平昌パラリンピックは過去最多となる49の国と地域から約570人が参加。現地の報道によると、開会式・閉会式や競技の入場チケットは目標の22万枚を大きく超えて、33万5000枚が売れた。この数字はバンクーバーの21万枚、ソチの20万枚を上回る。実質の観客動員も32万人となり、興行的には成功と評価されている。

 筆者はフリーのジャーナリストであり、取材パスがないため、自分でチケットを購入して開会式に向かった。開会式の会場は平昌オリンピックスタジアム。中に入ってみると、車椅子で観戦できるスペースがスタンドの中段付近に多く用意されている。その付近には車椅子でも使えるトイレや、スロープが設置されていた。入場の際に混乱した様子はなかった。

 開会式が始まったのは午後8時。低コストで運営されているといいながらも、幻想的なパフォーマンスが繰り広げられ、華やかな演出だった。選手の入場行進の時には、各国の選手に会場から大きな声援と拍手が送られていた。

 ただ、よく見ると、一部には空席が目立つエリアがあった。スタジアムの定員は3万5000人。関係者によると、チケットが売れたのは約8割で、当日の入場者は定員の約6割だったとみられる。都市部から離れた場所で、平日・金曜日の夜なので、仕方がない部分もあるのかもしれない。一方で、大会が進むにつれて関心が高まったのか、閉会式はほぼ満員だったそうだ。

低床バスとリフト付きバスで対応した選手・観客の移動

 開会式が終了したのは午後10時頃で、帰りはそれなりに混雑した。スタジアムは山間部にあるため、アクセスはバスになる。韓国政府はオリンピックとパラリンピックのために高速鉄道KTXの延伸や、高速道路を整備。最寄りの駅やバスターミナルと、会場の行き来のために、シャトルバスを走らせていた。

田中圭太郎/ジャーナリスト

田中圭太郎/ジャーナリスト

ジャーナリスト、ライター。1973年生まれ。大分県出身、東京都在住。97年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピック、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書に『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書・2023年2月9日発売)、『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)。メールアドレスは keitarotanaka3000-news@yahoo co.jp、 HPはジャーナリスト 田中圭太郎のWEBサイト

Twitter:@k_taro_tanaka

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