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小谷寿美子「薬に殺されないために」

●●を摂取すると風邪の罹患期間が短くなる? くしゃみ・鼻水が和らぐ?

文=小谷寿美子/薬剤師

ビタミンC免疫力を上げる?

 1997年に発表されたジョンストン博士の論文は、ビタミンCを1日2000mg与えた群と、何もしない群の間で好中球走化性に変化があったかを4~6週間にわたり調べたものです。好中球は免疫担当細胞の一つです。異物を食べて破壊するという働きがあります。この細胞は普段は血中にいて見張りをしているのですが、病原菌が来ると増えて動きが活発化します。より早く病原菌にたどりつけるように、速く動くのです。これを「走化性」といいます。

 この走化性が高まると、いわゆる「免疫力」が上がっている状態になります。ビタミンCを摂取すると好中球走化性は19%上がり、やめると38%下がったのですが、血中ビタミンC濃度が高ければ高いほど走化性が上がるというものではありませんでした。

 一方、血中のヒスタミン濃度が低いほど好中球走化性が上がることがわかりました。ビタミンCを摂取すると血中のヒスタミン濃度が38%下がりました。ビタミンCを1日2000mgとると血中ヒスタミン濃度が下がり、その結果、好中球走化性が上がるということがわかったのです。また、ヒスタミンはくしゃみ・鼻水を引き起こす物質です。ヒスタミン量を下げることができれば、くしゃみ・鼻水の症状を和らげることが可能です。

ビタミンCと書いてあるからといって、飛びついてはいけない

 ビタミンCはさまざまなかたちで含まれています。ビタミンCの含有量によって、「食品」「栄養機能食品」「医薬品」の区分が医薬品医療機器等法によって決められています。食品<栄養機能食品<医薬品と含有量が多くなります。食品の場合は、飴や清涼飲料水に含まれています。あるメーカーの飴は、1個で140mgのビタミンCが取れます。「よし! 好中球走化性を上げるために1日2000mg取ろう!」と思い立ち飴を食べるなら、2000mg÷140mg=14.28…個食べる必要があります。これは現実的な方法ではありません。

 ビタミンドリンクの場合は、あるメーカーの商品1本で1000mgのビタミンCをとることができます。これなら現実的な方法です。しかし、この商品では16gの糖質がもれなくついてきます。糖質好きにはありがたいのですが、そうではない方には余計なものです。

 栄養機能食品の場合は、商品にもよりますが1日量600~1000mgをとることができます。この量なら現実的です。栄養機能食品はサプリメントのかたちで販売されていることが多いです。また、ビスケットや栄養バーとして売られていることがあります。ビスケットや栄養バーの場合、ビタミンCはもちろんですが糖質がもれなくついてきます。

 医薬品は、1日2000mgをとることができます。錠剤や粉薬として発売されています。多くの医薬品は「アスコルビン酸カルシウム」のかたちで含まれていますが、なかには「アスコルビン酸ナトリウム」のかたちで含まれているものがあります。「ナトリウム」は血圧を上げる効果があるので、注意が必要です。毎日飲むものなので、その影響は大きくなります。

 ビタミンCの摂取は能動輸送といって、濃度勾配に逆らってポンプで体内に取り入れています。このポンプの数には限りがあるので、大量に飲んでもポンプが追い付かずそのまま流れ出てしまいます。ビタミンCは大量に飲んでも安全なのはそのためです。せっかく買って毎日飲むものですから、適量を飲むことをおすすめします。
(文=小谷寿美子/薬剤師)

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。
市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。
入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

Twitter:@kotanisumiko

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