
歴史的に繰り返し発生していることから、マグニチュード7級の東京直下地震がいつか必ず起こるといわれるが、東京都は3月29日、震度6強の地震で倒壊、崩壊する危険性のある建築物について発表した。東京全域で251棟が「倒壊し、または崩壊する危険性が高い」建築物に当たる。
そのなかには、女子ファッションの発信地である「SHIBUYA109(道玄坂共同ビル)」や、ボウリング場、サウナ、飲食店が入る「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」、上野のファッション専門店「アブアブ赤札堂上野店」、マッサージ店、金券ショップ、飲食店などが入るサラリーマンの憩いの場「ニュー新橋ビル」、青少年の学びの場である「科学技術館」が入っている。「東邦大学医療センター」「日本大学医学部附属板橋病院」「東京共済病院」などの医療機関も含まれている。「ライオンズマンション飯田橋」を初めとして、集合住宅も多い。
紀伊國屋書店新宿本店がある「紀伊國屋ビルディング」は、ル・コルビュジエに師事したモダニズム建築家・前川國男氏の設計で、昨年「東京都景観条例」に基づき東京都選定歴史的建造物に指定されたが、ここもまた「倒壊し、または崩壊する危険性が高い」建築物に含まれている。今回の調査で除外されたのは、国宝や重要文化財のみである。
今回の発表は、2013年に施行された「改正耐震改修促進法」に基づくもので、他の自治体でも行われている。同法は、不特定多数の者が利用する建築物の所有者に、耐震診断を行い所管行政庁に報告することを義務づけており、その報告がとりまとめられて公表されたものだ。
耐震診断の結果の区分として、地震に対して、1【正式表記はローマ数字、以下同】が「倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」、2が「倒壊し、又は崩壊する危険性がある」、3が「倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」となっている。251棟は1に該当するもので、1から3まですべて含めると、852棟となる。
3に関しては、「地震に対して安全な構造であると判断できる」との但し書きもあり、一般都民にとってわかりやすい表現とはいいがたい。これでは、危険性が低いのか、危険性がないのか、わからない。