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沖田臥竜コラム

六代目山口組系武闘派組織・二代目兼一会会長逮捕のなぜ?

文=沖田臥竜/作家
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六代目山口組系武闘派組織・二代目兼一会会長逮捕のなぜ? の画像1ネットでも拡散された宇都宮でのヤクザ同士のトラブルの様子

 今年2月、神戸山口組中核組織、四代目山健組(当時)の有力組織「二代目兼一会」が、六代目山口組極心連合会へと移籍した。

 当時の模様は当コラムでも報じているのだが【参考記事「山口組分裂後、屈指の大型移籍が実現」】、事の発端となったのは深夜、二代目兼一会本部事務所に神戸山口組太田興業幹部と任侠山口組幹部らが押しかけ、それに対応した兼一会組員らが彼らに暴行を働いたという嫌疑をめぐってのものだといわれている。

 後日、任侠山口組幹部に暴行を加えたとして二代目兼一会幹部ら5人が逮捕され、その後、二代目兼一会は極心連合会に移籍。一連の騒動に幕が下ろされたとみられていた。

 しかし、捜査当局はまだ事件を終わらせていなかったのだ。

 11月14日、組織犯罪処罰法違反(証拠隠滅)容疑で、二代目兼一会・植野雄仁会長をはじめとした幹部組員ら11人が大阪府警に逮捕されたのである。そのなかには、神戸山口組五代目山健組若頭補佐である誠竜会・山之内健三会長まで含まれていた。

「任侠山口組幹部に対する暴行事件をめぐって、すぐさまその処理に対して山健組でも事態確認に動いていた。なぜなら、同じ神戸山口組の太田興業幹部も、その時に一緒にいたからだ。その対応のために事件当日の夜、兼一会本部に来ていたのが山之内会長で、警察ではその日に兼一会本部に出入りした幹部らを証拠隠滅にかかわったとして、すべて逮捕したということのようだ」(業界関係者)

 事件直後、府警はすぐに二代目兼一会本部事務所の家宅捜索をかけており、事務所に設置された防犯カメラから、犯行時刻の映像を押収するつもりだったという。しかし、その部分だけがすでに消された後だったようで、それが証拠隠滅容疑にあたるというのだ。

 だが、暴行した組員らはすでに逮捕されており、事件から9カ月近くたった現在、11人もの組員らを逮捕する必要があっただろうかという疑問が湧く。

「二代目兼一会は、大阪随一の繁華街ミナミにおいて、それだけ大きな存在だということです。法に触れる点が少しでもあれば、どんなことでも逮捕するぞという捜査当局の厳しい姿勢の表れではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

ヤクザ同士の乱闘にも警察は積極的に介入

 この逮捕劇と同日。宇都宮でも不穏な事態が起きている。

 それは、六代目山口組系関係者、神戸山口組系関係者、住吉会系関係者という3つの勢力が入り乱れ、警察官が駆けつけるトラブルが起きたのだ。

 翌15日には、その模様を撮影した動画がSNS上で拡散されており、さまざまな情報が業界関係者らの間によって乱れ飛んだ。

「まだ逮捕者が出ていないので、はっきりとした事実はわかりませんが、関係者らの話を総合すると、神戸山口組系関係者らに対して、六代目山口組系関係者らと住吉会系関係者らが衝突したという構図になるようです。ただし、どの関係者らも捜査に非協力的なため、どこまで事実が解明されるかはわかりませんが……」(地元記者)

 今のところ、このトラブルによる二次的な被害や抗争などは起きていない。以前までであれば、被害届も出ていない以上、たとえそれがヤクザ間のトラブルであっても、捜査当局が乗り出し事件化させるケースは極めてまれだった。だが、今は違う。小競り合いのようなトラブルでも、当事者がヤクザであれば、摘発されてしまう。兼一会会長ら11人の逮捕も、そうした傾向のひとつの証左と思える。だが、こうした締め付けが、ヤクザが関与する事件をより巧妙にアングラ化させる可能性を秘めているような気がしてならない。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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