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安倍政権、「水道民営化」強行で国民の命を危険に…海外では料金高騰や水質悪化で死者も

文=荻原博子/経済ジャーナリスト
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 この法案を表面的に見ると、「“官”のもとで“民間事業者”が、そのノウハウで儲けを出しながら“官”を助ける」というイメージがありますが、よく見ると、そういうことにはなっていません。「コンセッション方式」という言葉が埋め込まれているからです。

水道民営化の落とし穴…料金3倍、コレラ大流行

 コンセッション方式は民間の知恵で効率的な運営ができ、しかも自治体の財政健全化にも役立つということで、「一石二鳥」と評する人もいます。しかし、見落としてはいけない大きな落とし穴もあります。

 この方式では、民間事業者に「運営権」と「料金徴収権」を渡すことになるため、私たちの大切な生活インフラである「水道」を利益重視の競争原理にさらすことになる可能性があります。

 これまでも、さまざまな公共事業が官民連携で行われてきましたが、運営権や料金徴収権を民間事業者に持たせるコンセッション方式は、従来の官民連携とは違い、大きく民営化に踏み出す一歩となります。

 では、水道が民営化されると、どんなことが起きる可能性があるのでしょうか。極端な例ですが、南アフリカでは水道の民営化後に民間企業がすべてのコストを水道料金に反映させたために、貧困家庭の1000万人以上が水道代を支払えず、汚染された川の水を飲むなどして約25万人がコレラに感染するという痛ましい事件が起きています。これは、南アフリカ史上最悪の事件とまで言われています。その結果、民営化された水道は再び公営に戻されました。

 これほど極端な例は珍しいにしても、フランスのパリでは民営化によって1985年から2009年の間に水道料金が約3倍になりました。そのため、パリでは2010年に再び公営化されています。

 基本的に、民間企業は利益が上がらないことはやりません。そのため、民営化によって主導権を民間に握られてしまうと、コスト削減で水質が落ちたり利益重視で利用料金が上がってしまったりするケースは珍しくありません。そして、国によっては暴動が起き、多数の死者が出た例もあります。一度は民営化したものの、国民生活を考えて再び公営化するという国も多いのです。

すでに日本に進出している「ウォーターバロン」

 人間は水がなくては生きていけないため、「水を握る」ということは大きな利権にもなります。「水ビジネスは、10年後には100兆円市場になる」とも言われています。

 その水ビジネスを仕切るのは、フランスのスエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーター、そしてイギリスのテムズ・ウォーターという企業です。この3社は、世界の水ビジネスを仕切る「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれています。なかでも、スエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーターは、すでに世界で10%以上のシェアを持つ2強です。

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