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滋賀医科大病院、特定のがん治療突如中止で大量の待機患者発生…不適切処置で治療困難な患者も

文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者

 精神的に追い詰められた山口さんは、インターネットで他の治療法と病院を探し始めた。そしてたどり着いたのが小線源治療だった。
 
 滋賀医科大病院のウェブサイトで、岡本医師のメールアドレスが公表されていた。SOSのメールを送ったところ、岡本医師から返信があった。11月に初診を受けることが決まったのだ。PSA検査で異常が発見されてから、3カ月が過ぎる頃だった。

「初診を受ける前に、岡本先生が患者会の人を紹介してくださいました。栃木県在住の上野繁(仮名)さんという方で、みずからの小線源治療の体験記をブログで公表されています。私が上野さんに連絡を取ると、わざわざ栃木から上京してくださいました。A病院から転院する際の交渉の方法とか、いろいろとアドバイスをしてくださったのです。がんの恐ろしさに打ちのめされて、うつ状態になっていたときで、気持ちが楽になりました」

突然の外来閉鎖決定

 小線源治療とは、放射線を放つ小さなシード線源を前立腺に埋め込んで、そこから放射線でがん細胞を破壊する療法である。小線源治療そのものは、滋賀医科大病院とは別の医療機関でも実施されているが、同病院の岡本メソッドの特徴は、高い線量でがん細胞を完全に死滅させながらも、前立腺周辺の臓器は放射線被ばくを回避できるというものである。

 5年後の非再発率は、低リスクで98.3%、中リスクで96.9%、高リスクでも96.3%である。これに対して一般的な小線源治療、ダビンチ手術、それに外部照射治療では、非再発率は40%から70%にとどまる。岡本メソッドは、がんが転移さえしていなければ、高リスクのがんでも、浸潤したがんでもほぼ100%完治させることができる。その治療技術は海外でも高い評価を受けており、ラジオNIKKEIは、岡本医師に対する2回シリーズのインタビューを放送している。

 山口さんは、自分の生命を救える可能性が高い岡本メソッドに望みをつないだ。小線源治療をめぐって滋賀医科大病院が揺れていることを上野さんから聞いていたが、外来での受付がスムーズに終わったので、治療は受けられると思った。実際、岡本医師はこの日から山口さんの治療に入った。山口さんが言う。

「私の場合、超高リスクだったので、まず手術前の処置であるホルモン療法を開始しました」

 岡本メソッドでは、高リスクのがんの場合、ホルモン治療や外部放射が併用される場合がある。この併用はトリモダリティ治療と呼ばれている。山口さんは、治療の最初のステップを踏みながら、手術の順番を待つことになったのだ。

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