NHKという誰もが知る名前を党名に借用しているため、N国党の名称は有権者から覚えられやすい。なによりも、訴求力は抜群にある。また、NHKの受信料支払いを拒みたいという人も多く、それらの声を代弁するN国党は勢力拡大が早かった。今回の参院選でも多数の候補者を擁立しており、うかうかしていると既存政党も足元をすくわれかねない。

 れいわ新選組やN国党に比べると、世間的な話題は少ないが、意外にも高齢者から人気を得ているのは佐野秀光氏が代表を務める安楽死制度を考える会(安楽会)だ。老後の生活資金に不安を抱える高齢者は多く、高齢者施設に入居している人、自宅で介護を受けている高齢者などは「家族に迷惑をかけたくない」という思いが強い。そのため、「実のところ、現役世代よりも高齢者のほうが安楽死に対して一定の理解を示す傾向にある」(福祉業界関係者)という。

 高齢者施設や病院などでは期日前投票が徹底されており、そうした施設で期日前投票をする高齢者を中心に、安楽会への支持がじわじわと広がっている。れいわ新選組もN国党も安楽会も「諸派」の扱い。そのため、情報拡散はネットが頼りになっている。

 これまでにも、ネットを中心にした選挙活動を展開した政党はいくつかあった。しかし、テレビ・新聞で扱われない政党は「空気」のような存在でしかなく、当選者を出すことはなかった。選挙においては、今もテレビ・新聞の影響力は絶大だ。しかし、社会環境が大きく変わり、ネット発信力はテレビ・新聞に迫るほどの力を持ち始めている。

 台風の目となっているれいわ新選組を筆頭に、N国党や安楽会といった「諸派」が勢力を拡大すれば、政治や社会は大きく動くことになるだろう。今回の参院選は、その転換点になるかもしれない。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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