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あの名作は、誰がなぜ盗み、壊したのか…「失われたアートを愛でる」という美術鑑賞

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※画像:『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房刊)

「美術鑑賞の面白さは、今あるものを美術館で見るだけではないんです。むしろ、戦争や盗難、天災といった様々な理由で、この世からなくなってしまった美術品、つまり「失われたアート」を見る面白さもあるんです。」

 そう語るのは、アートブログ「青い日記帳」を主宰するTakさんこと中村剛士さんだ。美術鑑賞の達人、カリスマアートブロガーとして知られる中村さんは、これまでも著書『いちばんやさしい美術鑑賞』(筑摩書房)や、『カフェのある美術館』(世界文化社)などを通して、肩肘張らないカジュアルな美術鑑賞の楽しみ方を紹介してきた。その中村さんが新たに着目したのが、すでにこの世から姿を消してしまった美術作品、つまり「失われたアート」を愛でる楽しみだ。

■なぜ芸術作品は破壊され、盗まれるのか

 日本は世界有数の美術館大国である。東京・大阪などの大都市はもちろん、全国47都道府県に一生かけても回りきれないくらいの美術館で、毎日数多くの企画展が開催されている。そんな充実した状況の中、敢えて「失われたアート」を鑑賞することには、一体どういう意味があるのだろうか。

 その答えは中村さんが監修した『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房刊)を読むとよくわかる。

 同書では、盗難や略奪、あるいは個人の身勝手な事情など様々な理由で捨てられ、破壊された20の美術作品や文化遺産を取り上げて解説。作品消失に至る一部始終や隠された意外なストーリーも掘り下げられ、読み物としても楽しい。300点以上のカラー写真や図解も大いに理解の手助けとなる。

 人間の愚かさや欲深さにクラクラするとともに、推理小説以上に奇想天外で鮮やかな美術品盗難の手口や、約70年ぶりに発見されたナチス財宝の発見譚にあっと驚かされるなど、読み進めるうちに様々な感情を揺さぶられる。あのダ・ヴィンチ《モナ・リザ》やムンク《叫び》など。誰もが知る名作すらも過去に盗難に遭っていたという事実にもハラハラさせられるはずだ。

 なぜこうも美術作品は簡単に奪われ、破壊されていくのだろうか。それは、美術作品の持つ普遍的な「性質」によるものなのだろう。人類の歴史上、贅を尽くした宝飾品や豪華絢爛な絵画など、「美しさ」を追求した美術作品は、王侯貴族など歴代の権力者によって富や権威の象徴として利用されてきた。それゆえ、人々の欲望やエゴイズムの影響を受けやすくなるのだ。芸術作品を後世まで守り継いでゆく難しさはここにある。

 著名な美術作品が失われる時、作品そのものは確かに二度と戻らない。しかし、作品にまつわる逸話やストーリーは、貴重な作品であればあるほど多く残されているものなのだ。

 本書は、残された数多くの資料を元に、「失われたアート」の謎をひとつひとつ紐解いていく。かつて圧倒的な輝きと存在感を放ち、歴史の中で翻弄された美術作品に隠された、知られざるストーリーを楽しむ。これもまた、新たな美術鑑賞の醍醐味といえそうだ。

「『かげ』を知ることにより『ひかり』は一層輝きを増し、新たな魅力を讃えるものです。きっと次から展覧会で絵画を前にする気持ちに変化が現れるにちがいありません。」


 中村さんは、本書の前書きでこんなことを語っている。

 過去20年以上にわたって、年間300以上の美術展に足を運びつづけている達人が提案する新しい「美術鑑賞」の楽しみ方を、ぜひ本書『失われたアートの謎を解く』で存分に味わってみて欲しい。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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