首都圏では新築マンションの販売が低調ですが、その一方、中古マンションの販売は着実に増加しています。3年前に年間の中古マンション成約件数が、年間の新築マンション発売戸数を上回りましたが、2017年、18年は両者が拮抗した状態でした。しかし、19年は新築が減少し、中古が増えるなかで、いよいよ中古マンションが主役に躍り出てきました。首都圏でマンションといえば、中古マンション――後で振り返ってみると、19年は名実共に“中古マンション主役元年”だったということになりそうです。
年間発売戸数が10万戸近くに達した年も
長年、首都圏のマンション市場では新築が主役の座を保持してきました。図表1にあるように、特に2000年代の初頭には年間の新規発売戸数が10万戸近くに達したこともあり、中古マンション成約件数の4倍近くの市場規模を保持していたのです。
それが、2000年代の半ばから急速に減少し、10年代に入ると年間4万戸前後まで減ってしまいました。前回の消費税増税前の駆け込み需要で年間6万戸近くに回復した年もあったものの、この数年は年間4万戸を切る水準が続いています。
その一方、中古マンションは新築のような大きな変動はなく、毎年着実に成約件数を増やしてきました。その結果、ついに2016年には中古マンションの成約件数が、新築マンションの年間発売戸数を上回ったのです。
2019年には中古が新築を大きく上回る可能性
とはいえ、17年、18年と新築と中古はほぼ同じ水準で推移してきました。中古はわずかながらも年々着実に成約件数を増やしてきましたが、新築もなんとか3万7000戸台で踏ん張って、両者には大きな差がつかなかったのです。
ところが、19年にはその力関係の変化がいよいよ明確になってきそうです。図表2をご覧ください。これは、19年に入ってからの新築マンション発売戸数と中古マンション成約件数の推移を月ごとの棒グラフと、その累計を折れ線グラフで表現しています。一見してわかるように、毎月、中古マンション成約件数が新築マンション発売戸数を上回り、結果として累計にも大きな差がついています。10月までの合計では両者の差は1万件以上に達しています。