
年末年始は忘年会、新年会が続く。ついつい飲みすぎて、「二日酔い」で苦しむ人も少なくない。
「二日酔い」は飲酒により体内に入ってきたアルコールが肝臓で代謝されてできる「アセトアルデヒド」が嘔吐、下痢、頭痛などの症状を起こす、と西洋医学では考えられている。もちろん間違いではない。
しかし、漢方医学では「二日酔い」は「水毒(体内の過剰な水分)が原因とする。次の図は私が考案したので、「石原式“冷え”“水”“痛み”の三角関係図」と勝手に呼ばせてもらっている。
「寝冷えすると、下痢(水様便)する人がいる」(冷→水)、「雨に濡れると冷える」(水→冷)、「冷房に入ると頭痛がする人がいる」(冷→痛)、「雨が降る日は手足の関節が痛む人がいる」(水→痛)などから、「冷え」「水」「痛み」の事象はそれぞれ関連していることがわかる。
人間は36.5℃前後の体温で体内のあらゆる化学反応を遂行し、命の灯を燃やして生きている。よって、体が冷えると冷やす原因のひとつである余分な水分を体外に出して体を温めようとする。この反応が「下痢(水様便)」「(体温が下がる夜間の)頻尿」や「寝汗」「風邪(冷え)をひいたときの鼻水やくしゃみ」などである。
さて、二日酔いのときの症状、「嘔吐(胃液という水分の排泄)」「頻尿」「下痢(水様便)」「頭痛」を鑑みると、すべて水毒の症状であることがわかる。
なにしろビールの約93%、日本酒やワインの約85%が「水分」なのであるから、ビール(大瓶一本=633ml)を一晩で5本(約3リットル)飲む人はいらっしゃるだろうが、水を一晩で3リットル飲め」と言われても容易ではない。上戸にとって、アルコールはとてもおいしいので、ビール(またはワイン、焼酎、ウイスキー、日本酒)などのアルコールをつい飲みすぎて、ということは、水分を体内に取り入れすぎ(水毒)て、「二日酔い」で苦しむ羽目になるのだ。
「五苓散」
「二日酔い」の本態を「水毒」と考えると、漢方薬の「五苓散」が二日酔いの予防、治療に発効することが理解できる。
【「五苓散」の成分】
茯苓(ブクリョウ:サルノコシカケ科マツホドの菌核)…利尿
猪苓(チョレイ:サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核)…利尿、下痢止め
蒼朮(ソウジュツ:キク科オケラの根茎)…利尿、健胃、下痢止め
沢瀉(タクシャ:オモダカ科サジオモダカの根茎)…利尿、下痢止め
桂皮(ケイヒ:クスノキ科クスノキの樹皮)…発汗、健胃