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寺澤有「警察を見れば社会がわかる」

安倍政権のカジノ管理委員会に重大な疑問…利益相反疑惑の委員は辞めさせるべき

文=寺澤有/ジャーナリスト
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西村あさひ法律事務所のホームページから削除された樋口建史氏の画像

 前々回の記事前回の記事で、「IRカジノを含む統合型リゾート)を手がける西村あさひ法律事務所(以下、西村あさひ)のアドバイザーの樋口建史氏(元警視総監)がカジノ管理委員に就任したのは利益相反ではないか」と指摘してきた。

 前々回の記事が公開された2月7日、衆議院予算委員会で阿部知子議員(立憲民主党)が「これは、いろいろな疑念を抱かせる元になる」と批判した。武田良太内閣府特命担当大臣(カジノ管理委員会は内閣府の外局)も「カジノ管理委員会が疑念を生じさせることは慎んだほうがいいのではないかというご指摘はごもっとも」と答弁した。

 そして、前回の記事が公開された3月6日、西村あさひのホームページを見ると、10人いたアドバイザーが9人に減っており、樋口氏の名前と写真が削除されていた。これは、どういうわけなのか。

アドバイザー辞任の理由は明らかにせず

 3月9日、西村あさひを取材した。

「2月末日付で(樋口氏との)アドバイザー契約は解消しています」(広報室)

 その理由を尋ねたが、「個別の事項については回答を差し控えさせていただきます」と言う。

 なおも「アドバイザー契約の解消は、樋口氏が申し出たものですか」「西村あさひのアドバイザーとカジノ管理委員を兼任するのは利益相反という批判が出ていますが、それと関係がありますか」と質問したが、「個別の事項になりますので……」と回答は得られなかった。

 同日、カジノ管理委員会も取材した。「樋口氏が西村あさひのアドバイザーを辞めた理由について、本人はカジノ管理委員会で、どのように説明していますか」という内容だ。

 翌日、カジノ管理委員会からコメントが返ってきた。

「樋口氏が西村あさひのアドバイザーを辞めたことは承知していますが、その理由については、お答えする立場にはありません」

 安倍晋三首相は国会で「カジノ管理委員会については、その廉潔(私欲がなく、心や行いが正しいこと)性等を確保する」と述べて、IR整備法(特定複合観光施設区域整備法)は成立した。廉潔性の確保の前提になるのは透明性の確保だが、カジノ管理委員会には、それがない。

 阿部議員は、こう批判する。

「樋口氏が、どうして西村あさひのアドバイザーを辞めたのか、カジノ管理委員会には説明責任があります。『カジノ管理委員会の廉潔性』と言うなら、利益相反などあり得ません。樋口氏はカジノ管理委員も辞めるべきです」

西村あさひからの出向者も辞任予定

 前回の記事で、「カジノ管理委員会では、樋口氏以外にも、西村あさひの所属者が勤務している」と指摘した。この人物について、西村あさひに照会すると、以下のようなコメントだった。

「(3月9日)現在、カジノ管理委員会に出向者がいますが、名前は個人情報なので、回答いたしかねます。出向は3月末で終了する予定です」(広報室)

 こちらも利益相反が指摘されたため、あわてて対応したように見える。カジノ管理委員会にもコメントを求めた。

「西村あさひからカジノ管理委員会へ出向している者については、名前、契約期間など、個人情報に関することなので、お答えを控えさせていただきます」

 2003年に個人情報保護法が成立したとき、「政治家や公務員などのスキャンダルを隠蔽するため、『個人情報』が大義名分とされるのではないか」と危惧された。その後、まさに危惧が現実化している。

 阿部議員は「官民一体の『原子力村』と同じように、『カジノ村』が誕生しようとしています。そのようなことは許されません。利益相反については、きちんと国会で説明してもらいます」と話す。

 安倍首相も本気で「カジノ管理委員会の廉潔性の確保」を言うのなら、IR整備法に基づく樋口委員の罷免を検討するべきだろう。

(文=寺澤有/ジャーナリスト)

寺澤有/ジャーナリスト

寺澤有/ジャーナリスト

1967年2月9日、東京生まれ。 大学在学中、自動車雑誌『ニューモデルマガジンX』でジャーナリストとして活動開始。それ以降、 警察官、検察官、裁判官、自衛官などの不正を追及。 2014年、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」から「100人の報道のヒーロー」として表彰される。

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