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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国ファーウェイ、英国が5Gから完全排除&米国はビザ制限…ソフトバンクに迫る深刻な危機

文=渡邉哲也/経済評論家
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ファーウェイのロゴ(写真:AFP/アフロ)

 中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)が、再び大きな危機に直面している。これまで部分的に容認してきたイギリスは、2027年までに次世代通信規格「5G」からファーウェイ製品を完全排除する方針を決定した。21年以降は新規購入も禁止するという。

 すでに日本は政府調達から事実上の排除を決定しており、輸出規制の強化などでファーウェイ潰しを主導するアメリカは、かねて同盟国に5Gからの完全排除を求めていた。そのアメリカは5月に、ファーウェイに対して半導体の供給網を絶つ追加制裁を発表し、これが今回のイギリスの決断を後押ししたかたちだ。

 また、イタリアの通信大手であるテレコム・イタリアも、ファーウェイを5Gの入札から排除する方針であることが報じられた。日米に続いてヨーロッパでもファーウェイ排除が既定路線となるなか、あとはドイツがどうするかが焦点となるだろう。

 ドイツの通信大手・ドイツテレコムはアメリカでT-モバイルを運営しており、T-モバイルはソフトバンクグループ傘下のスプリントと合併した。スプリントは米国務省が発表している「クリーン・ネットワーク」の企業群に入っているが、T-モバイルは入っていない。今後、アメリカはこの部分を突いてくると思われる。

 ドイツテレコムはファーウェイのヨーロッパ最大の顧客であり、現時点では個別のサプライヤーに対する一律の締め出しには強硬に反対している。しかし、今後は厳しい立場に置かれることが必至で、ある意味では、米中どちらの陣営につくかという“踏み絵”を迫られることになりそうだ。

 また、イギリスのファーウェイ排除は5Gの問題だけではなく、すでに設置されている4.5G(5Gへの転用も可能)を含むもので、既存の設備も入れ替えるという内容だ。その費用に3000億円以上かかると見込まれているが、多額のコストを負担してでもファーウェイを排除する必要性があると判断したということだろう。

問われるソフトバンクの判断

 同様の問題は、日本でいえばソフトバンクが抱えている。日本政府はファーウェイをはじめとする中国製品の5Gからの事実上の排除を決めているが、現行世代の利用を禁じてはいない。そして、ソフトバンクは4.5Gにファーウェイ製品を多数採用している。そのため、アメリカによる「安全なネットワーク企業」に認定されていないわけだ。

 しかし、中国製通信機器の締め出しなどを定める「米国防権限法2019」により、アメリカ政府と取引を継続する企業や個人は中国製通信機器を業務に使用していないことを8月13日までに宣誓する必要があり、それをしなければアメリカ政府との取引が停止される。

 また、今後の規制強化で、アメリカは「安全なネットワーク」に指定されている企業以外との取引を禁じる可能性もある。そうなれば、営業に大きな問題が生じることは必至だ。

 一方で、多額のコストを負担してファーウェイを排除した場合は、中国政府による制裁を受ける可能性も高い。ソフトバンクグループは保有する最大の資産がアリババグループの株式であるように、中国のIT企業などに多額の投資をしていることで知られている。万が一、アリババ株が無価値化すれば、ソフトバンクグループは財務的に破綻する可能性が高まることも予想されるのだ。

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