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GW中日、免許センター激混みで悲鳴続出…なぜ新規の免許交付件数が急増?

文=Business Journal編集部
埼玉県警の公式サイト
埼玉県警の公式サイト

 ゴールデンウィーク(GW)中日の2日、日本国内のTwitter上では「免許センター」がトレンド入りしていた。例年年末年始などに運転免許センターが混み合うことはよくあるが、今年はGW期間中、平日が2日入ったこともあり、どこの免許センターも活況を呈したようだ。Twitter上では以下のような投稿が目についた。

「ようやく待ち時間約120分の所要時間30分アトラクション(免許センター)に入れる」

「免許センターなう 学科試験の受付10時までなのにまだ前に100人ぐらい並んでるのバグやろ」

「免許センター来て早2時間、立ち待ちを続けています。大人気アトラクションかよ」

 特に首都圏近郊では、埼玉県鴻巣市にある同県の埼玉県警運転免許センターの“混雑”を嘆く書き込みが目立った。

免許更新は“優良”なら所轄警察署でも受けられるが……

 第一種普通自動車運転免許の交付手続きと初回更新手続きは、免許センターで行う必要がある。一方で、初回以降の更新手続きは、講習区分(運転者区分)によって場所が異なる。名前が上がっていた免許センターを統括する埼玉県警では、5年間無事故無違反だった優良運転者は所轄警察署で講習を受け、更新手続きができるが、“一般運転者”は2時間の講習を免許センターで受講しなくてはならない。

 交通部門勤務の経験の長い元警視庁警察官は次のように語る。

「一般運転者の更新は免許センターというのは、全国どこでも同じだと思います。単純に所轄署に何十人も集めて2時間の講習をやる場所なく、それに対応できる人員がいないというのが一番大きいでしょうね」

 この指摘を裏付けるように、同県警の免許センターのQ&Aには次のような質疑応答が記されていた。以下、原文ママで引用する。

<Q:違反運転者や初回更新者は、なぜ運転免許センターまで行かなければならないのですか?

A:違反運転者及び初回更新者の更新時講習は、2時間と規定されており、残念ながら警察署には2時間の講習を行う施設及び十分な駐車場施設を確保することが困難となっています。

 そのため、運転免許センター建設以前は、警察署で申請手続を済ませた後、後日自動車教習所等で2時間講習を受講してから、再び警察署に出向いて新しい更新免許証を受け取るという3度も足を運ばなければなりませんでした。そこで、2時間講習については、このような負担を解消するため、日曜日又は平日に当たる毎日都合のよい日に更新申請が可能であり、しかも「申請→講習→即日交付」までの一連の手続が1回で済ませることができる施設、体制を整えた運転免許センターで実施しています。

 全国で実施している更新日時、更新場所等は、各都道府県の地域性、特殊性、財政事情等を踏まえつつ、更新者の利便性と経費の効率性との調和の観点で位置づけられています

少子化なのに令和に入って新規免許交付者数が急増

 とはいえ、免許センターはGW期間中の大型リゾート施設のように“楽しい場所”ではない。混雑の背景にはなにがあるのか。前述の元警察官は次のように指摘する。

「警察庁の運転免許統計によると、新規の免許交付件数が急増しているのです。少子化の影響で、新規交付件数は減少傾向が続くと思われていたのですが……。いずれ、警察庁が要因を分析するとは思います。

 新型コロナウイルス感染症の影響もあるのかもしれません。どこかに遊びに行くのに混み合う公共交通機関の利用を避けたり、ロジスティック関連の需要増や、企業が従業員に自動車を活用した業務を求めたりすることが増えているのが要因かもしれません」

 警察庁が毎年発表している『令和3年版運転免許統計』によると、全国の「第一種普通自動車免許の新規運転免許証交付件数の年別推移」を見てみると以下のようになっていた。

平成29年109万8416人

平成30年105万1584人

令和元年  105万1384人

令和2年  108万1005人

令和3年  113万7409人

 減少が続いていた新規免許交付者数は「令和」に入って増加に転じ、数万人ずつ増えていることがわかる。では、都道府県別ではどのようになっているのか。各都道府県別運転免許証交付件数(新規)について、『運転免許統計』の『令和元年版』『令和2年版』『令和3年版』に記載されている単年データーを抽出して比べてみた。

東京都(警視庁):令和元年11万1819人、令和2年10万7419人、令和3年12万5013人

埼玉県:令和元年6万7181人、令和2年6万7621人、令和3年7万3762人

千葉県:令和元年5万6608人、令和2年5万6726人、令和3年6万2822人

神奈川県:令和元年7万9296人、令和2年7万5948人、令和3年8万5630人

 令和元年から2年の推移では、東京は減少し、他3県も微増にとどまっていたが、令和3年になると4都県とも前年比1割ほど増加している。前述の元警察官は次のように語った。

「つまり昨年、新規で免許証の交付を受けた人が例年より多かったため、その1年後の今、初回更新を受けるために免許センターを訪れているので、例年より混み合っているのかもしれません。インターネット上で指摘されている通り、免許センターがもっと増えれば混み合うこともないでしょう。

 利用者の皆さんにはご迷惑をおかけすることになって心苦しいですが、免許センターを新規に建設するとなると用地や人的経費、人員確保ともに厳しいものがあります。ただでさえ、警察の各予算は折からの緊縮財政のあおりをもろに受けていますし、難しいと思います」

(文=Business Journal編集部)

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