バーベキューにお祭り、花火と、何かとお酒を飲みたくなるイベントが多い夏。お盆休みの帰省でも親や親せきにすすめられるまま飲んでしまうという人もいるはずです。ほどほどにしておけば楽しく酔えるお酒ですが、度がすぎると気分が悪くなってしまったり、翌日に残ってしまったりうっかり口がすべって言わなくてもいいことを言ってしまったりと、苦い思い出も残します。そんな失敗をなくすためにも、お酒について知っておくべきかもしれません。
「つまみを食べなければ太らない」は本当か?
『名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義』(葉石かおり著、浅部伸一監修、日経BP刊)は、アルコールが人体に及ぼす影響をさまざまな角度から解説してくれます。たとえば、「お酒だけ飲んでいるぶんには太らない。太る人はつまみで太っているのだ」という説をきいたことがありませんか? 俗にいう「エンプティカロリー説」です。お酒に含まれる純アルコール(エタノール)には1gあたり7.1kcalのエネルギーがありますが、このうち70%ほどは代謝で消費されるため、同じだけのカロリーを脂質や糖質でとった時よりも体重増加作用が少ないのではないか、というのがこの説の根拠のようです。
ただ、本書によるとこの説はまちがい。お酒に含まれるエタノールはエネルギー源であり、つまみは控えてお酒だけを飲んでいたとしても太るのだそう。ちなみに缶ビール1本(355ml)のカロリーは150kcalほど、ワインの小グラス1杯だと100kcalほど。日本酒一合だと200kcalほどある。これらはおにぎり1つ分のカロリーとだいたい同じくらい。缶ビール1本飲むのはおにぎりを1つ食べるのと同じだと心得た方がいいようです。
これは「糖質ゼロ」をうたっているアルコール飲料でも同様。糖質の有無とは関係なく、お酒と名のつくものは太るというのが実際のところ。「つまみを食べなければOK」と油断するのは禁物です。
アルコール由来のカロリーは代謝されやすい?
一方で、アルコール由来のカロリーは代謝されやすいため太りにくいとする説もあります。これはアルコールが分解されるときに、中間生成物として作られる酢酸(短鎖脂肪酸)が筋肉などで炭酸ガスと水に分解されるときに熱エネルギーが放出されるという説に基づいています。
しかし、本書では「短鎖脂肪酸は、通常の油に多く含まれる長鎖脂肪酸よりも消費されやすく、体内で優先的に使われるかもしれません。しかし、それで『太らない』と言えるかというと難しいでしょう」とする医師の見解を紹介しています。
消費されやすい短鎖脂肪酸にもエネルギーが含まれる以上、摂れば摂っただけエネルギー方になるのはまちがいないようです。
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多くの人が親しむお酒だが、二日酔いになるメカニズムや、酔いのメカニズムなど、体に入ったお酒がどんな作用をするのかについては案外知らないもの。お酒が入ることが多いこの時期に、本書を通じてお酒と体について学んでみてはいかがでしょう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。