そう聞いて、穏やかな気持ちのままでいられる人は少ないだろう。
そこで今回は、2007年から13年にかけて米ハーバード大学にて肥満や老化などに関する研究に従事し、今年6月に『ハーバード大学で研究した医師の警告 健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)を上梓した内科医師・医学博士の大西睦子氏に、
「健康でいるために食べてはいけない食品と食べるべき食品」
「食に関して世間で広く流布している誤った情報」
「年代別に注意すべき点や心がけるべき点」
などをテーマに話を聞いた。
赤身肉のリスク
――本書は科学的な研究結果をもとに、健康を脅かす食べ物を数多く取り上げていますが、なぜ今回このような著書を出版しようと考えたのでしょうか。
大西睦子氏(以下、大西) アメリカに来てがんや肥満に関する研究をしていたのですが、そこでの研究から病気を予防するためには食生活が非常に重要だと気付きました。アメリカは日本に比べて肥満の人が多いので、そういった予防医学に関する情報が毎日のように流れています。もちろん日本でも調べればいろいろな情報を得ることができますが、個人の経験則に基づいた情報が広まっていて、科学的な根拠のある情報がきちんと伝わっていないと感じました。そこで、新しい研究結果を多くの人に伝え、日々の食生活のことをもっと考えてほしいと思ったのです。
――今、日本は健康ブームなので、食に関する興味は強いと思います。我々が日々よく口にするものの中で、「これは食べないほうがいい」という食品はありますか。
大西 本書では「食べるな」と言ってはいますが、これらの食品を食べたからといって翌日急に病気になったり、太ったりするということはありません。食生活というのは日々の積み重ねですので、毎日のように食べていると危険だということです。
そういう意味で控えたほうがいいものは、牛や豚などの赤身肉ですね。赤身肉には中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪酸が含まれており、動脈硬化を引き起こす恐れがあります。また、貧血の予防に効果のあるヘム鉄ですが、摂りすぎるとN-ニトロソ化合物という発がん性物質の形成を促進させてしまい、がんのリスクが増加してしまうのです。赤身肉を毎日85g食べ続けると死亡リスクが13%増えるという研究結果がありますので、食べすぎには注意が必要です。
『ハーバード大学で研究した医師の警告 健康でいたければ「それ」は食べるな』 「肉を食べると早死に」「ゼロカロリーは太る」「本当に怖い添加物」など、アメリカの最先端の研究でわかった「食べてはいけない」の新ルール。体にとって本当にいい食べ物とは。健康と美のために、知っておきたい食事のルールを伝授する。