「住みたい街ランキングの傾向を見ると、表参道や広尾がもっと上位に食い込んでもいいはずですが、表参道は20位、広尾はトップ50圏外です。どちらも駅ビルがないため、利便性に関してはいまいちという印象があり、票が伸びなかったのではないでしょうか。ここ数年、JRが積極的に取り組んでいる駅ビル施策が駅のイメージアップに大きく貢献していることがわかります。
また、吉祥寺に憧れて上京した学生が『吉祥寺』で検索しつつも徐々に条件をゆるめて、実際はバスで10~20分くらい離れた場所や西武新宿線沿いに住むのはよくあること。実際に『住む』確率は低いけれども、どのエリアを核にして生活していきたいかという指標になるのが、『住みたい街ランキング』なんです。そういった点では、ライフルホームズが発表している『借りて住みたい街ランキング』のほうが、実際の検索データを利用しているため、より『住む』に寄せたリアルなニーズを反映しているのではないかと思います」(同)
ライフルホームズが発表した「(データでみた)借りて住みたい街ランキング2019」を見ると、池袋、川崎、中野、高円寺、葛西、荻窪……と、確かに現実味のある駅名が並んでいる。比べてみると、スーモ版のほうが憧れ要素が強く出るのかもしれない。
埼玉県民の「地元愛」が強まっている?
とはいえ、“憧れ妄想ランキング”であったとしても、大宮はランクインしているほかの街と比べて浮いている印象だ。決してバカにするわけではないが、大宮のどこに“憧れ”的要素があるのだろうか。
「『大宮』を選んだ人のほとんどは埼玉県民です。埼玉の人は、自虐的に語りつつも埼玉愛が強い。県内でもヒエラルキートップの大宮、そして浦和は、埼玉県民にとっては手が届く範囲での憧れの街なんです」(同)
実際、プレスリリースに掲載されている県民別投票数において、大宮に投票した70%以上が埼玉県民だ。都民からの支持率は1割にも満たない。また、同じく埼玉県内で8位にランクインした浦和も、80%以上が埼玉県民からの支持だった。県内ヒエラルキーにおいて大宮・浦和がトップであることには異論がないが、では浦和よりも大宮に軍配が上がったのはなぜだろうか。
「大宮は新幹線の停車駅ですし、商業施設が充実しているので、埼玉県民なら一度は遊びにいく場所です。だから、街そのものがイメージしやすい。一方、浦和は県庁所在地ではありますが、それ以外に訪れる目的や機会が少なく、パッと思いつくものが乏しいことがその理由です」(同)