なぜ人は『ドラクエ』をやるのか?高くて「操作性悪い」と不評のスマホ版なのに…
つまり、現在40歳前後のおじさんたちは、ある意味で体を張ってゲームをやってきたというわけです。これは、40歳前後の男性を理解するためのひとつの視点でもあると思います。もちろん、本当のゲームマニアの方からすれば、私は甘い存在だとは思いますが……。
「ゲームをする」という行為は、生きるために必要不可欠な行為ではありません。一般的な優先順位としては、かなり後のほうになるでしょう。しかしながら、現代を生きるおじさんの中には、若い時のことを思い出す際には、ゲームがなんらかの思い出と結びついているという人も多いと思います。
私は、前述したような話を新規見込み客との面談の場で展開することで、本来の仕事の話はあまりせずに、契約をまとめることも増えてきました。もちろん、私がそういう情報発信を続けているために、同じ嗜好性を持っている方がアプローチしてきてくれていることも、大きな要因です。
それによって、あらためて感じた、当たり前のことがあります。仕事の場において、自分は「何が好き」で「何が嫌い」なのか、そして「何ができない」のかということを真摯に語り共有することで、共感やそれに基づく信頼感が醸成されていくということです。
ハッタリでやっていけることもあるかもしれませんが、結局は自分の心から湧き出る何かをぶつけ合うことが、よい関係をつくり上げるのではないかと感じます。言い換えれば、継続的な関係を構築するためには、その土台に横たわる価値観の共有が大切ということです。
それと同時に、「これで、朝からゲームをプレイしていても正当化できるな」と思ったのも事実であることを付記しておきます。今やっている『ドラクエ6』が終わったら、以前からやろうと思って手をつけていなかった『クロノ・トリガー』(スクウェア・エニックス)を始めようと考えています。
なお、私はスクウェア・エニックスとはユーザーとして以外の利害関係はありませんし、株主でもありません。単純にゲームが好きなだけです。
(文=藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人日本生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー<R>)