生活習慣病やうつ病の低年齢化
こうした子どもたちの食生活を裏付けるように、アトピー性皮膚炎やぜんそく、花粉症などアレルギーを持つ子どもの割合は3人に1人、小中学生の生活習慣病(糖尿病、脂質異常症)も増えており、高校生では約4割が生活習慣病の予備軍という調査報告があります。また、中学生のうつ病の発症率4.6%は、大人と同じ割合といわれています。先日は小学低学年の子による担任への暴力が報じられ、いわゆる「キレやすい子ども」の低年齢化も進んでいるようです。このほかにも、風邪を引きやすい、常にダルそうにしている、覇気がないなど、心身の健康度が低い子どもや若者が増えているようです。
成長期の子どもの変化は急激で心身ともに不安定な時期とはいえ、食べ物の影響は無視できません。特に全身の細胞膜とホルモン様物質の成分になる油(脂肪酸)の量と質が、体調や体質に与える影響は想像以上に大きいのです。家庭や学校給食で、栄養バランスの良い食事をさせることはもちろんですが、その食材を悪い油で調理したのでは、かえって子どもの心身の健康を阻害することになりまねません。食品会社や外食産業が油を変えることは期待できませんので、せめて家庭と学校給食で使う油は質と量を見直すべきです。
心身の不調があれば、勉強やスポーツ、そのほかの才能を充分に発揮できません。塾やクラブ活動の行き帰りにコンビニやファストフードの悪い油を食べていたのでは、病気とはいわぬまでも、体がだるかったり、抑うつ傾向にあったり、感情の起伏が激しかったりして、集中して物事に取り組むこともできません。
子どもは保護者の与える食べ物で成長します。子どもが本来持っている能力を充分発揮できる健康な体質でいるためにも、植物油の正しい知識を持って、悪い植物油を子どもに摂らせない少油生活に切り替えることが大人の務めです。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)