“牛丼御三家”と呼ばれている吉野家、すき家、松屋の3社の夏は、軒並み好調だったようだ。それぞれが発表した8月の月次報告によれば、既存店売上高は吉野家が前年同月比13.9%増、すき家が同3.5%増、松屋フーズ(牛めし事業店のみ)が同6.1%増を記録したという。
すき家と松屋はこれまでも堅調が伝えられていたため、好業績も不思議ではないが、驚くべきは吉野家だ。同チェーンを展開する吉野家ホールディングスは2019年2月期連結決算で最終損益が約60億円の赤字に転落するなど、一時期は低迷が伝えられていた。しかし、牛丼の新サイズとして送り出した「超特盛」のヒットなどもあり、勢いを取り戻しつつあるようだ。
競争の激しい牛丼業界のなかで生き残っていくために、“牛丼御三家”は新しいメニューの開発や定番商品の改良を続けている。利用者としてはありがたい側面もあるが、だからこそ迷ってしまうという場面も出てくるだろう。
そこで、今回は「この秋、買ってはいけない3大牛丼チェーンのメニュー5選」を選出した。メニュー選びで後悔しないための参考としてほしい。
吉野家/チーズカルビ丼/649円(税別)
ここ数年でトッピングの定番になった感のあるチーズを乗せた牛丼のメニューは各社が開発に取り組み、売り出している。そのなかで残念な評価を下されてしまいがちなのが、吉野家の「チーズカルビ丼」だ。
不評を買う原因となってしまっているのが、こってりとした味の濃さ。一つひとつのメニューがハイクオリティな吉野家だからこそ、単体として完成度が高い「カルビ丼」にチーズの濃厚さがプラスされると、やや過剰に感じてしまう人が多いようだ。
また、溶けていない細切りチーズが乗せられているのも好き嫌いが分かれるところ。食欲の秋にチーズ牛丼をがつがつ食べたいという人は、他社の商品を選ぶのがベターだろう。
吉野家/チキンスパイシーカレー/511円(税別)
8月に掲載した「この夏、買ってはいけない3大牛丼チェーンのメニュー6選」では、食べると後悔してしまうかもしれない“残念メニュー”として「スパイシーカレー」を紹介した。同商品にチキンをトッピングした「チキンスパイシーカレー」は、よりおすすめできないメニューとなっている。
スパイシーカレーの問題点は、たくさんのスパイスが配合された複雑かつ独特な味わいにある。好きな人にはたまらないだろうが、一方で苦手な人も少なくないカレーとなってしまっているのである。
そして、この商品のチキンにはタンドリーソースがかかっており、さらにスパイシーさがプラスされているので、よりいっそう人を選ぶメニューとなっている。スパイスが体を温めてくれるため、寒くなり始めた季節にもってこいの商品ではあるので、注文するか否かはお好み次第だろう。
すき家/サラ旨ポークカレー/490円(税込み)
一風変わったトッピング牛丼ばかりではなく、海鮮メニューや丼メニューの意外なおいしさが話題になることの多いすき家において、陰に隠れてしまっているのがカレーだ。そもそも、2018年にカレーメニューがリニューアルされたことを知らない人も多いのではないだろうか。
そこで新登場した「サラ旨ポークカレー」はスープカレーのようなシャバシャバのルーが特徴で、よくあるカレーを想像して注文すると、がっかりしてしまう可能性が高い仕上がりとなっている。
また、リニューアルの際にスパイシー感はアップしたものの、うまみやコク、深みが感じられないという意見もSNS上で散見されている。吉野屋と同じく、すき家のカレーメニューも注文時に注意が必要な商品だといえるだろう。
すき家/お好み牛玉丼/520円(税込み)
期間限定メニューとして、すき家がたびたび送り出している「お好み牛玉丼」。今年も8月から再販売されているが、珍しいからと注文してしまうには、あまりおすすめできないメニューとなっている。
牛丼の上にはシャキシャキとしたキャベツ、そこにソースとマヨネーズがかけられており、別添えとなっているかつお節や青のりを乗せれば、お好み焼きにかなり似た味わいを楽しむことはできるのだが……。
牛丼特有の甘じょっぱい味付けがお好み焼きに負けてしまっているので、牛丼を味わいたいという人には向かないのである。また、お好み焼きが好きなら本物のお好み焼きを食べたほうが満足できるだろう。わざわざ選ぶメニューではないというのが、実食した上での正直な感想だ。
松屋/ネギたっぷりネギ塩豚肩ロース丼/500円(税込み)
それまで販売されていた「ネギたっぷりネギ塩豚カルビ丼」をモデルチェンジし、今年2月より販売されている「ネギたっぷりネギ塩豚肩ロース丼」も評判のよろしくないメニューである。
カルビに比べて40円値上がりしたことも大きなマイナスポイントだが、何よりも問題なのは味である。肩ロースを使用することによって脂身が少なくなった肉はやや硬く、また、あっさり系の味付けと合わさったときに、どうしても淡白に感じられてしまうのだ。
「カルビに戻してほしい」というファンからの声も少なくない、この丼。食欲の秋、肉をがっつり食べたいからという理由で選んでしまうと、後悔してしまうかもしれないメニューだ。
――“牛丼御三家”と称されているだけあって、吉野家、すき家、松屋には、質・量ともに優れたコストパフォーマンスのいいメニューもたくさん揃っている。ただし、味覚は人それぞれであるため、今回「買ってはいけないメニュー」として紹介したものが好みだという人もいるだろう。最終的には自身の舌で確かめてみるのがいいかもしれない。
(文=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)