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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

年収2百万円未満の人、安価な米・パンに食偏重で病気も…肉・野菜の摂取少

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
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 12月初旬、厚生労働省が発表した2014年「国民健康・栄養調査」【編注1】で、所得の低い世帯ほどパンなどの穀類の摂取量が多く、逆に野菜類と肉類の摂取量が少ないことが、初めて明らかにされた。一方、同省の11月初め発表の14年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」【編注2】で、非正社員(非正規社員)が、これまた初めて4割に達したことがわかった。この2つの調査結果は、少子高齢化で働き手の数が減る中、その4割もが貧困から低栄養、そして生存の危機へと追い詰められている実情を現す。これは、格差拡大型経済政策のアベノミクスの罪か。

生存のための穀類偏重

「国民健康・栄養調査」は、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、毎年実施されている。14年は5432世帯を対象にして行われ、有効回答が得られた3648世帯について集計された。そのなかで特に「所得と生活習慣等に関する状況」の表【編注3】が衝撃的だ。

 米やパン、麺などの穀類の1日当たりの摂取量平均は、世帯所得が600万円以上の男性の494.1gに対して、200~600万円未満がその1.05倍の520.9 g、200万円未満は同1.08倍の535.1 gだった。女性もそれぞれ352.8 g、その1.02倍の359.4 g、同1.06倍の372.5 gと、所得が低いほど量が多い。

 逆に野菜類の場合、所得600万円以上の男性は200万円未満(253.6g)の1.27倍の322.3g、同女性も200万円未満(271.8g)の1.15倍の313.6gと、所得が高いほど多い。

 肉類も野菜類と同様に、所得600万円以上の男性は200万円未満(101.7g)の1.20倍の122.0g、同女性も200万円未満(74.1g)の1.13倍の83.9gと、所得が高いほど多かった。この傾向は、乳類でも同じだ。

 つまり、低所得世帯の男女は、体内で主にエネルギー(カロリー)源として利用される炭水化物を多く含む米などの穀類を多食する。
 
 その一方で、細胞の活性を維持するカリウムなどのミネラルや、免疫力を高めるなどの働きがあるビタミンなどが多い野菜類と、筋肉などの組織をつくるのに欠かせないタンパク質や、細胞膜の成分である脂質などに富む肉類の摂取量は少ない。

 例えば米には多少、カリウムやビタミン、タンパク質、脂質などが含まれているとはいえ、野菜類や肉類の代わりにはならない。つまり、穀類に片寄った栄養バランスが悪い食生活は、健康を損ね、さまざまな病気の温床になりかねない。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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