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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

年収2百万円未満の人、安価な米・パンに食偏重で病気も…肉・野菜の摂取少

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 それが非正社員では、最も多いのが41.5%の10万~20万円未満で、これに36.7%の10万円未満、12.9%の20万~30万円未満が続く。つまり、第1位から第3位で見た場合、正社員と非正社員との間では、わずか1カ月だけで10万~30万円の差がある。年間にして、120万~360万円という大きな差だ。

 これだけの大差があれば、小売単価の高い類や野菜類を避け、カロリー単価の低い穀類偏重の食生活にならざるを得ない状況がよく理解できる。

雇用調整弁とアベノミクスの相関関係

 非正社員の雇用は、バブル期(1986年末~1991年初め)に中小企業の人手不足解消の手段として定着していた。それがバブル崩壊後、ヒト(雇用)・モノ(設備)・カネ(債務)の3つの過剰を抱えていた大企業までもが、人件費削減のために新規採用の抑制や早期退職の優遇などリストラ(企業の再構築や人員整理)の一環として、非正社員の雇用に踏み切った【編注10】。

 米国などと違い、日本では新規学卒者の長期雇用で人材を育成する伝統的な雇用システムが維持され、会社都合による解雇は禁じ手とされていた。
 
 しかし、バブル崩壊で追い詰められた日本企業は、人件費抑制と即戦力確保のために、なりふり構わず、いわば安易な雇用の調整弁として、非正社員の雇用に乗り出した。その後、非正社員雇用は常套手段と化し、そこに格差拡大型の経済政策でもあるアベノミクスが加わり、低所得者が増え、栄養バランスの悪い貧しい食生活に追い詰められているという構図だ。

切ない姿が浮かび上がる

 低所得者は、いわば政治と経済的な構造の歪みという名の谷間に落ち込んだといえる。その「低所得の谷間」では、生活習慣も変わるようだ。

 特に200万円未満の低所得世帯の男女共に、所得の高い世帯に比べて以下のそれぞれの割合が高い。

(1)ストレスが強いためか、「習慣的な喫煙者」
(2)時間や費用負担の問題によるのか、「健診の未受診者」
(3)「歯の本数が20本未満者」

 それも、特に健診の未受診者の場合、「習慣的な喫煙」と「運動習慣がない」割合と共に、血圧の平均値が高く、さらに女性の場合、肥満者の割合も高かった。それだけ病気予備軍の要素が強まっているというわけだ。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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