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最後にワタミのケースを見てみましょう。同社は外食事業を中核にしながらも、介護や食事宅配事業なども手掛けているのは、多くの方がご存知でしょう。外食事業としては、ファミレスなど食事中心の業態も一部展開していますが、その大多数は居酒屋です。そして、同社の12年3月期の各事業別実績を見ると、大変興味深いことが浮かび上がります。
【外食事業】
売上高:837億円/経常利益:33億円
【介護事業】
売上高:284億円/経常利益:38億円
【宅食事業】
売上高:262億円/経常利益:22億円
売上規模で見れば、依然として外食事業が主体であるのは間違いありません。しかし、利益ベースで見ていくと、介護はすでに外食を上回っており、売上規模が外食の3分の1以下の宅食も、利益では外食の3分に2に迫っているのです。この収益構造からは、ワタミはすでに「居酒屋の会社」ではなくなっていることがはっきりと見て取れます。
大の酒好きの私としては、よくいわれる「人々(特に若者)のアルコール離れ」を安易に認めたくはありませんが、実際にはさまざまなデータがそれを物語っているのも事実です。そして、「お酒を飲まない人」は、これからもやはり増えていくのでしょう。巷で話題のノンアルコール飲料も、そんな時代の過渡期ゆえの商品なのかもしれません。
お酒を積極的に売ってきた外食企業が、「食」にフォーカスした店を出し始めたら、それは既存店舗の収益性が急激に悪化しているか、あるいは逆に時代を先取りして攻めの一手を打っているかのどちらかです。その見極めは慎重にしたいところですね。
(文=子安大輔/株式会社カゲン取締役)
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