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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

巨額補助金受けて大量広告出す私立大学は、パチンコ三昧の生活保護受給者と同じでは?

文=新見正則/医学博士、医師

「税金から生活保護費が支出されていることを承知して、でも余暇の限度を超えたパチンコがやめられない。それが実は病気なのかもしれない。また、大した病気もないのに病院で診てもらいたくなること自体が、病気なのかもしれない」

 忙しい外来に大して急ぐ病気でもない人が、そして自分では支払いをまったくしない患者がくると、医師としては無性に腹が立つのは事実ですね。

 問題は、生活保護をもらっている人の全員が余暇以上のパチンコを行っているわけではないし、生活保護をもらっている人すべてが大した病気でもないのに病院の救急外来を訪れているわけではないのです。常識君は続けます。

「僕たちは、ついつい目立つ患者が来ると、その人をそのグループの代表のように思ってしまう。それこそが差別の土台になる可能性がある」

 確かにそうですね。多くの人の感情を逆なでするのは、国民のお金、つまり税金を投入してもらっている分際で、余計なことにお金を使っているという図式です。確かに腹が立ちますね。そこで常識君は付け加えました。

私立大学は沢山の助成金を国からもらっている。そんな助成金をもらっている大学が、プロ野球の球場に広告を出したり、電車に大きな広告をうったり、またコンビニの端末にも私立大学名を出したりしていますよ。それには腹が立たないのですか?」

 さすが常識君らしい公平な意見ですね。

 生活保護受給者のお金の使い道に妙に腹が立ちますが、確かに膨大な助成金(私立大学等経常費補助金など)をもらっている大学の広告には腹を立てたことはないですね。常識君の妙にフェアな発言に一同ちょっと絶句しています。

 そして、私立大学が広告を出して受験生が増えれば財源が潤うし、生活保護受給者がパチンコで気晴らしをして元気になれば、それも意味があるといえるでしょう。結局、結論がでない議論でした。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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