日常食ではなく、あくまで保存食品
食中毒で怖い菌のひとつに大腸菌O-157がありますが、これは75度で1分間加熱すると死滅しますし、その他多くの病原菌、食中毒菌も耐熱性は低いといわれています。しかし、ボツリヌス菌という食中毒菌には高い耐熱性があり、いったん食中毒になると致死率が高く治療も困難であることから、ボツリヌス菌による食中毒を防止することが必要となっています。ボツリヌス菌は120度で4分間加熱すると死滅することがわかっており、一般的なレトルト食品では中心温度(芯温)120度、4分の加熱が最低条件になっています。
レトルト食品は、アメリカ陸軍補給部隊研究開発局が缶詰の代替軍用携帯食として開発したのが始まりです。缶詰が重いことや、空缶処理の問題を改善するのが狙いでした。その後、アポロ計画で宇宙食に採用されたことがきっかけで、多くの食品メーカーがレトルトに注目し始めました。アメリカでは、一般家庭に冷凍冷蔵庫が普及していたため、冷凍食品は普及しましたが、食品がレトルトである必要はなかったため、まったく普及しませんでした。
一方、日本では冷凍冷蔵庫の普及が遅れていたため、常温で流通、保存できる缶詰に代わる新しい加工食品としてレトルト食品に期待がかかったとも考えられます。つまり、日本では保存性よりもむしろ簡便性を前面に打ち出して、言ってみればインスタント食品の一種のような扱いで普及していったのです。
レトルト食品は、安全性を確保するために長時間の加熱をします。そのため、栄養素が失われてしまうので、その意味では優れた食品とは言い難いのです。また、コストを落とすため、劣悪な素材を使用していたり、味を調えるためにさまざまな添加物を使用していたりと、気になる部分はたくさんあります。レトルト食品は、日常的な食事というより非常食として保存しておくのがいいと思います。
中国産の食品添加物や劣悪な原材料
レトルト食品で一食を賄ってしまうのは、栄養的にはまったく不満足なものですが、満腹にはなると思います。また、増粘剤や乳化剤、着色料、香料などの食品添加物が大量に使われていることが多いため、その点の注意が必要です。たんぱく加水分解物、酵母エキスなどのアミノ酸類も多く使われています。味を調えるために、これらのアミノ酸類を使わなければならないほど劣悪な食材が原材料として使われているともいえます。