牛乳と生活習慣病との間には、どのような関係があるのか?
乳製品を多く摂る人は糖尿病などの生活習慣病にはなりにくい、というデータが複数存在しています。しかし、牛乳には動物性の脂肪が多く含まれていて、本当にそれで生活習慣病の予防になるのか、という疑問があります。
2014年のダイアベトロジア誌という糖尿病専門誌の論文では、乳製品を高脂肪のものや低脂肪のものに分け、また生乳とヨーグルトやチーズを分けて検討した結果、ヨーグルトのような発酵乳では、明確な糖尿病の予防効果が認められたが、牛乳などのみでは、そうした予防効果は認められなかった、という結果が報告されています(註3)。
牛乳と健康をどう考えるのが良いのか?
それでは、牛乳は健康に良いのでしょうか、悪いのでしょうか?
これはまだ結論の出ていない問題ですが、乳製品の健康への良い影響の多くは、実は牛乳ではなく、ヨーグルトやチーズによるものだと考えられます。
その理由はまだ明確ではありませんが、牛乳に比べてヨーグルトなどの発酵乳のほうが、低脂肪で、老化の促進因子であるガラクトースの含有量も少ないことが、その要因として想定されます。特に成長期を過ぎた大人では、1日コップ1杯を超える牛乳を飲むことは、あまり健康的ではない、と考えたほうが良いように思います。
皆さんも乳製品と賢く付き合ってください。
(文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長)
【参考文献】
註1:Michaelsson K, Wolk A, Langenskiold S, et al. Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies. BMJ. 2014 Oct 28; 349:g6015.
註2:Feskanich D, Bischoff-Ferrari HA, Frazier AL, et al. Milk consumption during teenage years and risk of hip fractures in older adults. JAMA Pediatr. 2014 Jan; 168(1):54-60.
註3:O’Connor LM, Lentjes MA, Luben RN, et al. Dietary dairy product intake and incident type 2 diabetes: a prospective study using dietary data from a 7-day food diary. Diabetologia.2014 May; 57(5):909-17.