年末年始には、故郷に帰ったり、普段はなかなか会えない友人と会ったり、ちょっと遠くまで足をのばしてリゾートしたりと、皆様それぞれの過ごし方をされたと思いますが、この時季にはどこに行ってもご馳走がつきもので、おいしさのあまり食べ過ぎたり飲み過ぎたりした方も多いのではないでしょうか。
「たまにはいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、実際に「たまに」であれば問題ありません。しかし、食べ過ぎ飲み過ぎが続けば体も黙ってばかりはいません。すでに警告を発しているかもしれませんので、くれぐれもご用心ください。脅かすつもりは毛頭ありませんが、それを無視していると、けっこう深刻な事態に至ったりもします。
例えば、昔は滅多に見られなかった病気で、最近目立つようになったもののひとつに「痛風」があります。1960年代までは痛風になる人はまれでした。食生活がすっかり変わった80年代中盤からは発症率がぐっと上昇します。また、以前は痛風といえば50代以降の酒好きの壮年がなるものと相場が決まっていたものですが、最近は若くして痛風を発症する人が増えてきています。実際、30代での発症が一番多いのだそうです。
痛風も生活習慣病の一種といえますが、生活習慣のなかでも圧倒的に食生活に原因がある病気と考えられます。ご存じの方も多いと思いますが、「風が吹いただけでも痛い」ということからその名がついたといわれていますから、その痛みがどれほどのものか想像できます。
痛風というと、プリン体が原因と思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。確かにそうなのですが、プリン体は食べ物から摂取する以外に体の中でもつくられるもので、それ自体が悪いわけではありません。プリン体が代謝されて尿酸という物質になります。
尿酸も、スムーズに排泄されれば問題はないのですが、体が酸性化していると排泄が滞りがちになります。血液のpHは7.3~7.4、弱アルカリ性に保たれていることが理想といわれますが、それがpH5.0より低い値、すなわち酸性に傾くと尿酸の排泄量が少なくなります。そして、排泄できなかった尿酸が結晶化して関節に溜まって炎症を起こし、痛風のリスクが上がると考えられています。
ちなみに、血液を酸性に傾ける食べ物の代表は肉類です。したがって、肉の食べすぎにはくれぐれも注意しなければなりません。