スーパーの「顆粒だし」は使ってはいけない!化学調味料まみれ、料理をしないのは命を脅かす
複数のだしを組み合わせると、うま味が数倍に
だしというのは、食材を水や熱水に浸して、その食材の成分を溶け出させたものの総称ですが、私たちがだしを「おいしい」と感じるのは、そこに「うま味成分」と呼ばれるものが入っているからです。うま味は、塩味、苦味、甘味、酸味と並ぶ「基本五味」のひとつで、ほかの4つの味を組み合わせてもつくり出すことができないもので、ほかの4つの味と同様に、舌にある味蕾細胞で認識されます。
日本のだしによく使われる昆布に含まれているのが、アミノ酸の一種である「グルタミン酸」です。グルタミン酸は、お茶、トマト、白菜などにも多く含まれています。また、鰹節に含まれている「イノシン酸」や、シイタケに含まれる「グアニル酸」は、核酸系のうま味成分といわれます。
きちんととった昆布だしはとてもおいしく、味噌汁やお吸い物などの汁物に使ったり、煮ものや炊き込みごはんにも使われます。しかし、その昆布だしに鰹節が加わると、そのおいしさが幾倍にもなることが知られています。それは、私たちの味覚がグルタミン酸とイノシン酸を同時に摂取した時に、味覚受容体が急激に活性化することで味覚神経に刺激を与え、脳が強くうま味を感じるからです。違ううま味成分が同時に存在すると、感じ方が何倍にもなるのです。
しかも、グルタミン酸に対して、20~80%のイノシン酸が加わった時に、最高のうま味が感じられるということもわかっています。多くのおいしいといわれる料理は、その割合を守っています。20~80%の間のどこをとるかについては、料理をする人と食べる人が決めるのです。要するにそれが「好み」です。
また、うま味成分がしっかりあると、塩味の感じ方も変わってきます。きちんととっただしを使った料理は、塩の量が少なくてもおいしいと感じられるのです。一方、筆者の経験では、化学調味料を使うと塩の量は増える傾向にあります。それは、化学調味料には、天然のだしに存在しているグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸以外の複雑なうま味成分がないため、どうしても薄っぺらい味にしかならないからだと考えられます。そうなると、味を調えるためには塩味や甘みを加え、それでも足りないのでさらに化学調味料を加える、といった具合にどんどん濃い味付けになってしまうのです。