学校法人「森友学園」の土地払い下げ疑惑は、いまだ真相が解明されないまま。そして、森友学園のもうひとつの問題についても、十分な議論は進んでいない。それは、小さな子どもへの「極端な教育方針」の押し付けだ。
森友学園が運営する幼稚園では、園児に対して「教育勅語の暗唱」「食事中のお茶や炭酸飲料の禁止」といった指導が行われていたことが、テレビなどで繰り返し報じられた。しかし、実は、こうした極端な教育は学校などの教育機関に限った話ではないという。子どもの教育に熱心すぎるあまり、極端な教育を行う家庭も多いのだ。
「『極端』をどう定義するかという問題はありますが、教育に熱心すぎて、子どもの意思を無視してしまっている親が多いのは事実です」
そう語るのは、『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)の著者で、幼児教室を設立し、30年以上にわたって教育現場の第一線に立ち続けている立石美津子氏である。
お菓子を禁止された子どもの驚くべき行動
たとえば、よく目にするのが、子どもに「甘いお菓子を食べさせない」「テレビ禁止、ゲーム類を一切やらせない」「キャラクターものの洋服やおもちゃを買い与えない」といった教育方針を持つ親たちだ。
そこには「砂糖は体に悪い」と考えるなどの理由もあるようだが、立石氏によれば、こうした教育が「子どもの楽しみを奪い、知らず知らずのうちに大きなストレスを与えている場合がある」という。
実際、立石氏は子どもたちを預かっていた際、親から市販のお菓子を禁止された子どもの驚くべき行動を目にしたことがあった。
もちろん、いくら幼児とはいえ、人の物を勝手に持ち出す行為はよくない。しかし、立石氏は、この子の行動と「お菓子の禁止」は決して無関係ではないと指摘する。
「私自身、教育熱心な母親のもとに生まれ、お菓子やジュースを禁止されて子ども時代を過ごしました。でも、内心ではすごく食べたかった。そこで、お友達の誕生日会に呼ばれたとき、出てきたお菓子やアイスをこれでもかっていうくらいに食べて、ひどい下痢になり苦しみました。おそらく、食べ慣れないものを急に大量に食べたことで、胃や腸が過剰反応を起こしてしまったのでしょう」(同)
このように、家庭内で「食べたいものを我慢させられる」といったある種の抑圧を受けると、子どもは親の目が届かないところでストレスを発散しようとすることもある。これも、熱心すぎる教育が招く弊害のひとつといえるだろう。
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