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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

胃がん原因の98%・ピロリ菌、除菌で食道がんリスク増や必要な菌除去で腸内バランス崩壊も

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

常在菌を除去するのではなく、免疫力のアップを

 しかし、除菌の前に、まずは、「胃を大切にする」ことを考えるべきではないでしょうか。ピロリ菌除去の話を聞くたびに「子宮頸がんワクチン」のことが頭に浮かびます。

 かつて、子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスであるとして、多くの女子中学生に子宮頸がんワクチンが接種されました。そして今でも多くの方がワクチンの副作用と思われる症状で苦しんでいます。

 確かに、若年層での子宮頸がんの発症率は増えています。しかし、ヒトパピローマウイルスも当たり前に存在するウイルスで、性交渉によって多くの女性が感染するといわれています。しかし、感染しても体内の免疫力によってウイルスを撃退することができるので、その場合は子宮頸がんを発症しません。

 つまり、インフルエンザのようにヒトパピローマウイルスが猛威を振るっているのではなく、免疫力の低下から子宮頸がんを発症してしまう若者が増えていると考えられます。

「ワクチンを接種して子宮頸がんを予防する」という考え方ではなく、本来は「ヒトパピローマウイルスに負けない免疫力の高い身体をつくる」ことが重要なのです。

 ピロリ菌が胃がんの原因だからと、なんの症状もないきれいな胃の状態でもピロリ菌の除去をすることが本当に必要でしょうか。まずは、「胃を酷使しない」「胃をいたわる」ことが大切です。

 前述したとおり、ピロリ菌は常在菌です。胃の中を除菌した場合に、除去されるのはピロリ菌だけではありません。強酸の胃の中でも生きていられるピロリ菌を除菌するには、以下の方法で治療します。

 まずは1日2回7日間、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗生物質」の合計3剤を服用します。この一次除菌療法の成功率は75~90%といわれています。一次除菌療法で除菌できなかった場合は、再び7日間薬を服用します。二次除菌療法では2種類の「抗生物質」のうちひとつを一次とは別の薬に替えて、再び除菌を行います。二次除菌療法をしっかりすれば、ほとんどの場合、除菌が成功するといわれています。

 ここで守るべきことは、確実にピロリ菌を除去するために、指示された薬は必ず服用するということです。自分の判断で中止したり、薬の飲み忘れをすると、除菌がうまくいかないばかりか、治療薬に耐性を持ったピロリ菌が現れる可能性があります。耐性というのは薬に対して細菌が抵抗性を示すようになり、その薬が効きにくくなることです。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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