安倍政権の働き方改革の流れで、過労死や過労自殺を防ぐため、6月1日より月100時間を超えて残業している従業員を産業医に報告することが企業に義務付けられました。
月の残業時間100時間超えは健康障害のリスクあり
数々の調査により、残業時間が多い人は睡眠時間が短いということが確認されています。また、睡眠時間が短くなるにつれて、さまざまな健康障害リスクが高まるということも複数の調査でわかっています。すなわち、残業が多い人は睡眠時間が短く、それが糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞、抑うつ、肥満などなどの健康障害につながるのです。
そこで、02年から長時間労働(過重労働)による健康障害防止のための対策として、産業医による過重労働面談が始まりました。残業時間が月100時間または2~6カ月平均で80時間を超えて、労働者本人が疲労の蓄積を自覚し、かつ本人が希望した場合は、医師による面談を受けさせる。それにより就業時間の制限等が必要とされた場合は、会社は労働者の健康障害防止のためにその対策を講じる、というのがその内容です。
残業による疲労はメンタルや睡眠に表れるとは限らない
実は労災と認定されたケースを分析すると、脳梗塞、心筋梗塞などの身体の労災は残業が長くなるほど増える傾向が見られますが、メンタルヘルス不調の労災に関しては、残業時間と必ずしも比例していないのです。
また、一昨年開始したストレスチェック制度に産業医として、また一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事としてかかわった経験ですが、高ストレス者は必ずしも長時間労働者ではありませんでした。仕事にやりがいを感じている人は、長時間労働でも平気です。残業がなくてもストレスを抱えている人たちもたくさんいました。産業医として年間1000人の働く人と面談するなかで、私は仕事への意識のほうが、メンタルヘルス不調の原因となる影響は大きいと実感しています。
安倍内閣の推進するトップダウンの働き方改革
本年2月より、プレミアムフライデーが始まりました。最終金曜日の午後は早く仕事を上がり、買い物や趣味に時間を使いましょうという趣旨のものです。