加工デンプンは合成デンプン、すなわち合成添加物であることは前回述べました。
加工デンプンとは、天然のデンプンにさまざまな化学薬品を混ぜ合わせて化学反応を起こし製造したものです。ですから、加工デンプンはれっきとした合成化学物質であり、合成添加物なのです。つまり合成保存料、合成着色料と同じ類のものです。
加工デンプンには法令上使用基準が設定されていません。したがって、基本的にはあらゆる食品に使用できます。添加量の規制もないので、あらゆる食品に10%でも30%でも、いくらでも添加できるのです。具体的には、次のような食品に使用されています。
・麺類:うどん、冷凍うどん、そうめんなど
リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン(アセチル化デンプン)、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンなどの使用が考えられます。
南洋産のデンプンで日本に大量に輸入されているタピオカデンプンというものがあります。このデンプンから合成されたヒドロキシプロピルデンプンは、冷凍・解凍による変化が少なく保水性もよいため、冷凍麺に使用されています。ソフトなのどごし、伸びにくいなどの作用もあります。
冷凍やチルドの麺類には、アセチル化デンプンを10~20%添加すると経時変化が少なくなります。また、インスタント麺(油で揚げた麺)の場合には、お湯を加えた時、湯戻りが速くなります。
・パン類、洋菓子類
ヒドロキシプロピルデンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンなどの使用が考えられます。
・冷凍食品類:小麦粉などデンプンを含むもの
アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンをモチ、大福、団子などに使用すると保水性がよくなり、冷凍保存ができるようになります。さらにソフト感が増し、モチモチした食感が得られます。
・スナック菓子類
アセチル化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンなどの使用が考えられます。
・タレ、ソース類
リン酸化デンプンなどの使用が考えられます。酸度の強い(=すっぱい)タレ、ソースにはアセチル化アジピン酸架橋デンプンが使用されます。