「プレコール」「ルルアタックFXa」等のピリン系が心配なら「コルゲンコーワIB2」がある
「わたしピリン系がダメなんですよ。アスピリン入っていませんよね?」
このような質問を受けることがあります。ここで「アスピリンはピリン系ではありません。アスピリンがダメなんですか? それともピリン系がダメなんですか?」と言ってしまったら、この方に怒られるでしょう。そこで、ピリン系でもアスピリンでもない「イブA錠」を「これなら入っていませんから大丈夫です」と紹介しています。
薬局の現場では多くの患者さんが来るので、患者さんに被害がないことを前提に、説明を省略してしまうことがあります。それでもこの質問が絶えないので、多くの方が誤解している内容なのだと思います。
そこで、今回はピリンについての基本をお伝えします。
ピリン系薬はキナの皮の代用品
以前は、マラリアなど熱が出るとキナの皮が薬として飲まれていましたが、キナの皮が高価だったため、さまざまな代用品が探されてきました。キナ皮がとても苦いので、まさに「良薬は口に苦し」です。代用品の一つがヤナギの皮でした。マラリアに対する効果はありませんが、熱を下げることはできました。
そして、キナ皮に似た成分を化学合成できないか、と開発が進むなかで「アンチピリン」が生まれました。これは世界で初めての化学合成医薬品です。このアンチピリンは解熱鎮痛効果があるものの、発疹や肝機能障害などの副作用がありました。それを改良してつくった「アミノピリン」も発疹の副作用があり、使われなくなりました。現在はさらに改良してつくった「イソプロピルアンチピリン」が発売されています。そしてこの薬は、医療用医薬品にはもちろん市販薬にも含まれています。
一方、ヤナギの皮からはサリシンと呼ばれる解熱鎮痛薬が抽出されました。そしてこのサリシンを副作用が少ないように化学合成したものがアスピリンです。市販薬では「バイエルアスピリン」や「バファリンA」に含まれています。アスピリンはヤナギ由来、ピリン系薬はキナ由来ということでまったくルーツが違い、化合物としてもまったく違うものです。
イソプロピルアンチピリンが含まれる医薬品
現在、ピリン系薬は「イソプロピルアンチピリン」と「スルピリン」の2種類が販売されています。市販薬では前者のみが販売されています。つまり、「イソプロピルアンチピリン」と「スルピリン」以外はピリン系薬ではないと覚えてください。医療用では「SG配合顆粒」「クリアミン配合錠」が有名です。かつて「セデスG」という薬があったのですが副作用が多いため製造中止にして、その内容を変えた「SG配合顆粒」という薬を発売することになりました。頭痛でつらい時に処方された方がいらっしゃるかもしれません。市販では超メジャーではないですが、以下の薬が発売されています。
「サリドンA」「サリドンWi」「セデス・ハイ」「セデス・ハイG」「プレコール持続性カプセル」「ルルアタックFXa」