忙しい日々のなかで、自分のパフォーマンスが下がりがちだと感じたり、いまいち調子が出ていないと実感したりすることがある。
労働によるアウトプットの基準は大きく変化してきている。「どれだけ長く働いたか」よりも「どれだけ効率的に大きな成果を上げられたか」が重視されるようになっているのだ。では、そうした時代のなかで、常に生産的でハイパフォーマンスを出せる人間になるには、どうすればいいのだろうか。
『心を休ませるために今日できる5つのこと』(集英社/ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著、三浦和子訳)では、その秘訣を「日々のなかのこまめな回復」だと指摘している。トップスポーツ選手も、プレーとプレーの合間にこまめな回復を実践し、自分のパフォーマンスが落ちないようにしているというのだ。そして、これはビジネスの現場でも応用できるものである。
その「こまめな回復」には、以下の5つの要素がある。
1.脳の使い方を切り替える(リフォーカス)
2.原始的な恐怖をリセットする(リセット)
3.思考のクセを見直す(リフレーム)
4.体をリフレッシュする(リフレッシュ)
5.心を活性化する(リニュー)
今回は、この中から「5.心を活性化する(リニュー)」をピックアップし、その方法を紹介する。さらに、これらの実践方法を、あるひとりの医師を例に示していく。
心を活性化する(リニュー)
心をこまめに休ませ、日々のパフォーマンスを上げるための5つの方法。その最後は、「心を活性化する」だ。ここで重要なことのひとつは、「目的の力」を利用するということである。
・注意を引きつける「試金石」をつくる。ソーシャルメディアのアバターとして使う、パソコンのスクリーンセーバーとして使う、など
・スケジュールを見直し、予定の中に自分の目的や情熱の火をつけるものがなければ、そのための何かをスケジュールに加える
目的に対してこまめなメンテナンスを加えることで、その情熱を持続させることができる。人生の目標を立てたとしても、すぐにそれを見失ってしまいがちな人はぜひ試してみてほしい。
ある多忙な医師がマイクロ・レジリエンスで生活を変えるまで
今日の医師は多忙だ。他者の生命を左右するというプレッシャー、財政的な圧迫、当局の圧力、面倒な管理のための雑用……37歳の開業医・ジョッシュは「コマネズミ」のように働く医師のひとりであった。
仕事でクタクタになり、ストレスフルな日々を過ごしていたジョッシュ。そんな彼は、いかにしてマイクロ・レジリエンスを実践したのだろうか。
まずは、メールを読む頻度を落とした。実は、大量に届くメールに急を要するものはほとんどなかった。
『心を休ませるために今日できる5つのこと』 ハイペースな現代の生活の中で、疲れ切った頭と心を抱える私たち。燃え尽きそうになる前に、小さな工夫を少しずつ実行することで、心を休ませて、自分が持つ能力を最大限にいかすのが、この本で紹介する「マイクロ・レジリエンス」のテクニックだ。著者ふたりが困難を乗り越えるのに役に立った方法をまとめて、何千人という人たちにインタビューし検証と修正を重ね、誕生した。