3月は学校の卒業の月であるが、人生を卒業(自殺)する人も少なくない。自殺者は一年のうちで、11月から3月がほかの月に比べて多い。
我が国における自殺死亡者数は、1998(平成10)年に3万人を超し、2003(平成15)年には3万5000人に近づいた。自殺者数の増加が社会問題化し、06(平成18)年には議員立法により「自殺対策基本法」が成立し、翌年には政府が推進すべき自殺対策の指針として「自殺総合対策大綱」(9項目48施策)が策定され、国・地方公共団体、医療機関、民間団体等が密接な連携を図りつつ自殺対策を強力に推進することとされた。
こうした努力が奏功し、自殺死亡者数は10(平成22)年より減少し始め、12(平成24)年以降は3万人を下回っている。しかし、17(平成29)年においてもいまだ2万1321人であり、主要先進7カ国の中で我が国の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)はもっとも高い。
17(平成29)年の日本人の死亡原因の8位が自殺であり、15~34歳の人たちの死因の1位でもある。自殺の原因として、一般的には、
(1)病気
(2)金銭問題(失業、会社の倒産、借金など)
(3)家庭内の人間関係
(4)職場での人間関係(就職失敗、上司からの叱責など)
などが指摘されている。
しかし、(1)〜(4)の境遇に陥っても自殺しない人のほうが圧倒的に多いのだから(1)~(4)は自殺の「原因」ではなく、「誘因」といってよい。
「冷え」と「低体温」は自殺を誘発
さて、自殺者の90%は「うつ病」か「うつ状態」にあるという。自殺者の多い国として、ハンガリー、フィンランド、スウェーデン、ロシアなど北欧の国々、日本では秋田県、青森県、岩手県、新潟県などの「雪国」が挙げられる。季節的には11月から3月が多い。また、一日のうちで自殺の一番多い時間帯は、気温や体温がもっとも低くなる午前3時から5時である。ここまで読まれて「自殺の本当の原因」が何であるか、ひらめいた方も少なくないだろう。「冷え」と「低体温」こそが「自殺の本当の原因」なのだ。
日本人の脇の下の平均体温は、1957(昭和32)年には「36.9℃」もあったという。今は「35.8~36.2℃」が平均体温だ。約60年間で「約1℃」も下がったのである。その結果、免疫力が低下し、がん、脳卒中、心臓病、肝臓病、精神・神経疾患など、ありとあらゆる病気が増加する下地をつくった。