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さらに、地球温暖化によるハリケーンの大型化で米国の穀倉地帯が水没することによって、広範囲な汚染が発生することも危惧されている。現に、2005年の大型ハリケーン「カトリーナ」によって米国南部が広範囲に水没したことによって、トウモロコシの穀倉地帯でアフラトキシン汚染が広がり、それが日本に輸入される状況が続いた。米国では大規模な洪水がしばしば発生しており、ミズリー川、ミシシッピー川流域のネブラスカ、ミネソタ、アイオワ各州のトウモロコシや大豆の主産地の冠水が危惧されている。
牛乳や乳製品などのアフラトキシン汚染の恐怖
アフラトキシン汚染は、トウモロコシなどの穀物、落花生、アーモンドなどの種実に限らず、牛乳や乳製品にも見られる。それがアフラトキシンM1(AFM1)による汚染である。乳牛などがアフラトキシンB1などに汚染されたトウモロコシなどの飼料を食べ、体内に取り込んだ場合、それが牛の肝臓で代謝されアフラトキシンM1になり、乳とともに排出されることになる。
その毒性は、強い発がん性を持つアフラトキシンB1の10分の1であり、極めて強い。食品安全委員会も2013年3月「食品安全委員会カビ毒評価書」において、以下のとおり規制をかける必要性を認めている。
「AF(=アフラトキシン)M1は、AFB1と同様に肝臓を主な標的として毒性や発がん性を示す」
「IARCでは、AFM1はヒトに対しても発がん性を有する可能性があると評価されている」
「従って、AFM1については、遺伝毒性が関与する発がん物質である十分な証拠があり、発がん物質としてのリスク評価が適切であると判断された」
また、厚生労働省は2016年1月から乳に含まれるアフラトキシンM1を0.5μg/kgを超えてはならないとの規制をはじめた。
実は、この牛乳などのアフラトキシンM1汚染の問題は、以前から問題視されていた。食品の国際的な規格基準を設定しているコーデックス委員会は、2001年に乳・乳製品中のアフラトキシンM1の残留基準値を0.5μg/kgとした。これに慌てたのが厚生労働省で、それまでアフラトキシンM1に関心がなく放置していたからであった。
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