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発がん性あるカビ毒汚染の牛乳・乳製品が流通…輸入穀物のアフラトキシン無検査の危険性

文=小倉正行/フリーライター
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 厚労省は2001年12月から2002年1月にかけて全国的に流通している牛乳のアフラトキシンM1残留状況を調査し、調査対象のほとんどすべての牛乳からアフラトキシンM1が検出されたのである。ただ、汚染レベルは国際基準の0.2~5.6%の範囲内だったので、この汚染レベルでは「肝臓がん発生はゼロに近い無視できる範囲内である」とされていた。

 しかし、日本の酪農は飼料として米国産トウモロコシに依存しており、それはアフラトキシンB1に汚染されている恐れがあり、その汚染度は地球温暖化による気温の上昇や大型ハリケーンによる水害などで、年により大きく変動する。だから、基準値の設定とその基準値に基づく絶えざる監視が必要であることは明らかである。このことは、国会でも何度も取り上げられた。そして、国際基準設定から15年経ってやっと基準値が設定されたのである。

EUより緩い基準でいいのか

 しかし、日本のアフラトキシンM1基準値は、EUに比べても緩いものである。EUでは、生乳について0.05μg/kg、調製粉乳について0.025μg/kg、乳幼児向け特殊医療目的の栄養食品について0.025μg/kgとの基準値としており、日本の基準値の10倍から20倍厳しい基準値を設定している。EUは、「AFM1の摂取量は合理的に達成可能な範囲でできる限り低くすべき」との立場を表明している。

 2010年度に日本で行われた乳児用調製粉乳のアフラトキシンM1汚染実態調査では、乳児用調製粉乳の粉末から0.177μg/kgのアフラトキシンM1が検出された。EUの基準値では流通が認められないレベル汚染であった。また、2003年度に行われた生乳の調査でも0.043μg/kgのアフラトキシンM1汚染が判明しており、これは、EU基準値をギリギリで満たすレベルであった。やはり、EU並みの基準値を導入して規制を強めるべきである。

 日本における牛乳・乳製品のアフラトキシンM1汚染の原因は、主に米国から輸入される飼料用トウモロコシがアフラトキシンB1に汚染されていることである。主食用のトウモロコシは輸入時に10ppbを超えるアフラトキシン汚染が確認された場合は、廃棄ないし積み戻しとなり、日本に輸入されることはない。

 しかし、飼料用トウモロコシは輸入時のアフラトキシン検査はなされていない。政府は配合飼料になった時にアフラトキシン検査をするので問題ないとしているが、過去に飼料用トウモロコシのアフラトキシンB1汚染は、70ppb(1989年)、81ppb(1998年)、68ppb(2002年)と高濃度汚染していたことが明らかになっている。やはり、輸入時に検査をして基準値を超えるものの輸入はストップすることが、牛乳・乳製品の安全性を保証するためには必要といえる。
(文=小倉正行/フリーライター)

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