これから現れる折りたたみ式スマホも、大画面で動画や読書を楽しみたいというような層からは人気を博しそうですが、今のスマホよりも決定的に長けている部分がない限り、その機種をわざわざ選ぶ理由にはなりません。主流になれるかどうかを論じるどころか、欠点が次々と挙げられるようであればすぐにそっぽを向かれてしまうでしょう」(同)
“2画面スマホ”の爆死から予見する折りたたみ式の未来
また、本体そのものを折り曲げられるわけではないが、NTTドコモが中国メーカーのZTEと共同開発し、2月に発売した「M Z-01K」も、折りたたみ式の2画面スマホということで注目を集めた。
Android OSの進化によって複数画面の表示に対応できるようになるなど、前述した「MEDIAS~」に比べ使用感は向上。ただ、一部ユーザーには“変態端末”と呼ばれており、いまだイロモノの域を抜け出せていないのが現状のようである。その理由も石川氏に分析してもらった。
「折りたたみ式スマホは、たとえば画面の右側では地図を、左側ではメールを開くといったマルチタスクをこなせ、とても便利です。その代わり、画面のどこをタッチすれば何がどうなるのかという部分が、どうしても煩雑になってしまいがちなのも事実。
これに対し従来のスマホには、1つの画面に1つのアプリケーションだけが表示されるという、わかりやすさがあります。そう考えると折りたたみ式は、スマホの本来の強みである直感的な操作性とは、かけ離れてしまっているのかもしれません」(同)
つまり折りたたみ式スマホの長所は、短所に裏返ってしまう恐れもはらんでいるということか。
「矢野経済研究所が予測した、2020年に折りたたみ式スマホの出荷台数が90万台まで成長するという数字は、世界規模で見ればまだ少ないと思います。そこをスタート地点として、折りたたみ式スマホの市場がさらに盛り上がっていくのかどうかは、これから登場する新機種の出来次第でしょう。
折りたたみ式スマホが世間に与える最初のインパクトは間違いなく大きいはずですので、ガジェットが好きな人でしたら購入するかもしれません。ですが、ただ目新しいというアピールポイントだけでは戦っていけませんし、使い勝手が悪ければ、市場は当然しぼんでしまいます。スマホをなぜ折り曲げられるようにするのか、なぜその形にするのかというコンセプトを明確に示せなければ、折りたたみ式が成功を収めるのは厳しいのではないでしょうか」(同)
折りたたみ式スマホに人々がどういった評価を下すのかは、各メーカーがここ2~3年でどれだけの技術力を発揮できるか、そして折りたたみ式でどのような新しいライフスタイルを提案できるかにかかっているようだ。
(文=A4studio)