総務省の言い分
そうした事態に歯止めをかけるべく、地方自治体を所管する総務省が動きだす。19年度から、総務省はふるさと納税を認可制にする制度を導入することを決定。返礼品の額は3割を上限とし、地場産品に限るとした。これにより、高額な返礼品でふるさと納税を集めることはできなくなり、輸入物のワインなども贈ることはできなくなった。総務省の意向に従わない自治体は、指定団体として認められない。指定団体にならなければ、ふるさと納税の税額控除を受けられなくなる。だから、総務省の言うことに従わなければならない。
総務省の強硬手段に対して、多額のふるさと納税を集めてきた自治体は、地方自治の精神に反すると反発した。しかし、所管官庁である総務省からみて地方自治体は立場が下ゆえに、表立って総務省を批判することは難しい。こうした強硬手段に対して、総務省の職員は、こう説明する。
「今回のふるさと納税に制限をかける措置は、自治体の自主性を蔑ろにすると言われています。しかし、それはまった的外れです。今回の措置は、一定のルールを設け、それに則ったかたちで競争することを目指しています。こうした措置に対して、泉佐野市などが抗議しているようですが、そうしたルールを設けないと逆に東京都や23区が有利になってしまいます。
また、東京は企業がたくさん立地していますので、非売品・限定品のノベルティグッズを返礼品にして、ふるさと納税を集める手も考えられます。東京都が本気を出したら、ほかの自治体は根こそぎふるさと納税を奪われてしまうのです。そうした東京ひとり勝ちをさせないためにも、一定のルールが必要であり、むしろルールを制定したことで地方都市を守ることにつながると考えています」
今回、東京都はふるさと納税の指定団体への申請をしなかった。つまり、東京都は自らふるさと納税競争に参入しないことを「宣言」したことになる。こうした東京都の姿勢に対して、前出の総務省職員は「東京都が大人の対応を見せた」と評価する。
杉並区は反ふるさと納税
一方、足元の23区は東京都ほどの余裕はない。返礼品競争が過熱したあたりから、税の流出が増え続けているからだ。