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景気不安定のなかで強引に消費増税突入、国民に甚大な煩雑さ強要…財務省の危険な横暴

文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授
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景気不安定のなかで強引に消費増税突入、国民に甚大な煩雑さ強要…財務省の危険な横暴の画像1財務省庁舎(「Wikipedia」より/っ)
 安倍晋三政権は、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げる予定だ。この引き上げにおいて、「経済情勢次第で見送る可能性がある」との景気条項は削除されている。つまり、政府は基本的に景気の状況にかかわらず消費税率を引き上げるとの意思表示を行ったのである。だが、消費増税時点の景気動向は不透明だ。小売業界の負担を回避しつつ消費者心理に働きかけやすい景気下支え措置の導入が望まれる。

 現在、消費増税の影響を緩和する措置として、マイナンバー(税と社会保障の共通番号)制度を用いて事後的に増税分の一部を払い戻すという還付制度を財務省が提示し、有力な方策としている。しかし、この制度については企業の負担や手続きの煩雑さに対する懸念が多く、経済専門家から批判の声も聞かれる。より効率的な策として、品目別の軽減税率導入を真剣に検討することが望ましい。

17年4月の景気と対策の確認

 17年4月の消費税率引き上げについて、政府は景気条項を削除している。つまり、消費税率引き上げ措置については景気回復が大前提になっている。しかし、中国経済の減速により世界経済の景況感は悪化している。先行きの景気は不安定に推移しやすく、17年に日本国内の景気が消費増税に耐えられるかはわからない。消費増税を行うのであれば、景気への影響、その緩和策を慎重に評価すべきだ。

 それでも、わが国の財政再建のためには消費増税などを通した財源確保が不可欠だ。一方で消費税には逆進性があるといわれている。逆進性とは、累進性と異なり所得が低いほど、税負担率が高くなることを指す。

 この影響を緩和するために政府は財務省の案に沿って、マイナンバー制を使い事後的に消費税の2%分を払い戻す還付制度を検討している。ただこの案に疑問を示す声は多い。なぜなら、事後的に還付することに伴う手続きの煩雑さ、消費者が軽減措置を感じにくいという懸念、さらに小売店舗が専用の端末を設置するなど不便な点が多いからだ。特に、中小企業にとっての負担は軽視してはならない。

消費税の還付制度は機能するか

 こうした指摘が出ている以上、還付制度が景気下支えになるのかは慎重に考えるべきだ。よりシンプルかつ現場の負担が少なく、消費者も軽減措置を感じやすい策を講じるべきだろう。

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