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囲碁界、天才登場に沸く…初の10代名人誕生か 中国最強棋士も撃破し世界震撼

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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 毎年昇段しているだけでもすごいが、驚くのはここからいきなり七段に昇段することだ。17年7月、棋士全員が参加する「竜星戦」で優勝したことにより、この年の8月に七段に飛び昇段したのだ。入段から2年11カ月での七段昇段は最短記録だ。

 芝野はこの年のうちに王座戦の本戦決勝に進出、本因坊戦も最年少(17歳9カ月)でリーグ入りした。10月には新人王戦に優勝。11月は第43期名人戦の最終予選で一力遼七段に勝って、史上最年少で名人戦リーグ入りした。17歳11カ月は本因坊に続く最年少記録だった。

 将棋と違い、囲碁は国際性がある。注目されたのは、昨年4月の「日中竜星戦」で柯潔九段に勝ち優勝したことだ。海外では日本のエース井山裕太も中国棋士相手に苦戦してきたなか、日本代表の優勝は初めてだった。しかも世界トップ級で井山も敗れていた柯潔九段に勝利したことは海外にも驚きを与え、中国メディアも「注目すべき若手棋士」と絶賛していた。

  そして今期の名人戦リーグとなったわけだが、6勝2敗で河野臨九段と同率首位となっていた。プレーオフで河野九段に勝ち名人挑戦を決めていたのだ。プロ入りから史上最速の4年11カ月、八段に昇段した。将棋の藤井聡太を思わせる驚異的な「進撃」ぶりである。

 さて、兄の芝野龍之介二段(21)も最年少アマ本因坊の記録を持つ。「虎丸」という名前は実に勇ましいが、体は華奢で小柄。積極果敢な囲碁の攻めとは裏腹に、ちょっと気も弱そうなのだ。以前、対局中に相手の目を見たら睨み返されたので目が合うのが怖いとかで、今回の対局でも張名人と目を合わさないようにしていたらしい。

 張名人がトイレに立った時に、ほっとしたような表情を見せて伸びをした姿に、この日、宝塚ホテルの一階で開かれていた大盤解説を、大橋成哉七段とともに担当していた女流棋士の佃亜希子五段が思わず「すごくかわいい」とコメントし、参加者を笑わせていた。

 囲碁界では可愛らしい仲邑菫初段(10)が注目の的だが、子供ばかりが広告塔では情けない。ここは虎丸君との「可愛い二人」でファンを拡大させ、藤井聡太で人気沸騰した将棋にあやかりたいところかもしれない。

(写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト) 

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