紅白にも出場!「だんご3兄弟」が大ヒットした20年前に多発した「便乗商法」覚えてる?
あなたにとって「懐かしい」とはどんな情景でしょうか?1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
今回のテーマは、「だんご3兄弟」。1999年にNHK教育テレビ(現・NHK Eテレ)の子ども向け番組『おかあさんといっしょ』から誕生し、瞬く間に社会現象になった同曲について振り返ります。
300万枚近く売れた「だんご3兄弟」
11月、今年の『NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表。菅田将暉、日向坂46などフレッシュな顔ぶれが話題となりました。20年前の同番組には、浜崎あゆみ、鈴木あみ、野猿らが出場。そんなビッグアーティスト達に交じって、当時うたのおにいさん、うたのおねえさんだった速水けんたろう&茂森あゆみが「だんご3兄弟」で初出場したことを覚えているでしょうか?
「だんご3兄弟」が初披露されたのは、1999年1月。『おかあさんといっしょ』のコーナー「今月の歌」でのこと。一度聴いたら耳から離れないタンゴ調のメロディと、「いちばん上は 長男」「いちばん下は 三男」とほのぼのとしながらも、「こんど生まれてくるときも ねがいは そろって 同じ串」と、どこか哀愁漂う歌詞がウケて、瞬く間に大人気に。1999年3月3日にCDがリリースされると飛ぶように売れ、最終的には300万枚近い売り上げを記録しました。
「およげ! たいやきくん」との比較
当時、この空前の大ヒット曲を語る際には、日本歴代最多のシングル売り上げを誇る「およげ! たいやきくん」が、たびたび引き合いに出されました。共通点は子ども向け番組から生まれた曲で、擬人化した食べ物を主題にしていること。
「およげ! たいやきくん」は、サラリーマンの悲哀を歌ったかのようなシニカルな歌詞が特徴でした。一方の「だんご3兄弟」の歌詞からも、社会風刺を感じることができました。串に刺さっただんごから、「会社・学校などの集団内で息苦しさを感じる人々」といった印象を受け、共感されているのでは? と分析するコメンテーターまでも現れました。
ちなみに、「だんご3兄弟」の比較対象として、連日のようにテレビで流れていた「およげ! たいやきくん」。発売元がこれを商機とにらんだのか、1999年3月25日に5万枚が追加出荷。23年ぶりにオリコンシングルチャートの100位以内にランクインするという現象も起きています。
便乗商法が多発!
曲の製作者やキャラクターグッズの製造元以外で「だんご3兄弟」の恩恵を最も受けたのは、いうまでもなくだんご屋でした。ブームの影響を受けて、それまでの4本串から3本串に変えて売り出すだんご屋が続出。なかでも、東京・国分寺で「だんごの輪島」を経営する元プロボクサーの輪島功一は、曲にあやかった新商品「だんご三姉妹」を売り出し、大儲けしていたものです。
一方で「だんごは4つ串に刺さっているもの」と主張する、だんご屋チェーン店によるプロデュース曲「元祖だんご4兄弟」は、本家へのアンチテーゼとしてリリースされています。わざわざ“元祖”とつけているあたりが、いかにもあてつけがましいこのシングル。ブームも遠い昔となった今、そんなことで目くじらを立てなくても……と思わずにはいられません。
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、ぜひお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
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