辛気臭い歌詞で200万枚! 『ちびまる子ちゃん』でお馴染みの名曲、メガヒットの理由
あなたにとって「懐かしい」とはどんな情景でしょうか? 1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
今回のテーマは、「なみだの操」。1974年に大ヒットし、90年代以降も漫画『ちびまる子ちゃん』(集英社刊)などの影響で、たびたびお茶の間に普及していた同曲について振り返っていきます。
長く日本歴代25位のセールスを記録した「なみだの操」
「違うよ、おじいちゃん。もっとニヤニヤしながら歌わなきゃ」
これはマンガ『ちびまる子ちゃん』の中で、殿さまキングスの「なみだの操」を歌う友蔵にまる子が言い放ったセリフ。確かに映像で見ると、ボーカル・宮路オサムの顔は異常なほどニヤニヤしています。
「なみだの操」は、1973年11月にリリースされた殿様キングス4枚目のレコード。1974年の年明けから徐々に売れ始め、3月にそれまで7週連続トップだった小坂明子の「あなた」を抜いて、オリコン1位を獲得。そこから9週連続で首位の座を死守し、最終的にオリコン年間シングルランキングでも堂々の1位に輝きました。
ちなみに、累計売上枚数は197.3万枚。これは2011年時点での日本シングル売上史上25位の記録に相当し、Mr.Childrenの「innocent world」(193万枚)、B’zの「LOVE PHANTOM」(186万枚)よりも上に当たります。
老若男女問わず愛された名曲
「なみだの操」の特筆すべき点は、「おそばに置いてほしいのよ」「お別れするより死にたいわ」といった、辛気臭い歌詞を悲しげなメロディに乗せて歌っているにもかかわらず、まったく悲壮感が漂ってないこと。現に『ちびまる子ちゃん』の別の回では、ヒロシとまる子が風呂場で楽しそうにこの歌を大熱唱し、偶然、家の前を通りかかったたまちゃんにドン引きされるシーンがあります。
おそらく、女性歌手が歌っていたらド直球過ぎて、もっとしんみりとした印象になっていたことでしょう。また、美男子がマイクを握ったとしても、狙い過ぎ感が出ていたかもしれません。
ボーカル・宮路は、当時27~28歳ながら実年齢よりも老けて見えました。“とっちゃん坊や”風の宮路がニヤニヤしながら、かつ、ねっとりと絞り出すような声で切ない女心を歌い上げたからこそ、絶妙な味わいが出たのでしょう。そして、1974年の日本レコード大賞・大衆賞受賞時の前口上にて「聞いてください。お年寄りからヤングまで。みんなに愛された殿様キングス『涙の操』!」と紹介されたように、老若男女問わず親しまれる名曲となったのではないでしょうか。
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、ぜひお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)