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さらに、日本は米国から米を年間40万トンほど輸入している。当然、牛肉、豚肉、米の原産地表示やトレースアビリティなどが関係国から「不必要な貿易障害」と認識されれば、TPPで紛争案件になり、TPPで紛争されることになる。
揺れる日本の原産地表示制度
日本の表示制度でもっとも懸念されるのが、牛肉と米のトレースアビリティである。米国の原産地表示制度もトレースアビリティ的な内容を含んでおり、それが輸入品の競争上の不利益をもたらすとされたのである。
牛肉のトレースアビリティは、日本ではBSE発生を受けて導入されたものであるが、発生からすでに15年を経過しその後の発生もないため、厚生労働省はBSE国内対策の見直しに着手し、食品安全委員会にこれに関する食品健康影響評価を諮問している。牛肉のトレースアビリティが輸入牛肉への競争上の不利益をもたらす役割を果たしているとされた場合、その表示義務撤廃の動きにつながる可能性もある。
また、米国でも外食・中食で輸入米を使用した場合、その表示が義務付けられているが、TPPで7万8400トンの日本への別枠輸入を勝ち取った米国政府が、外食・中食における輸入国産表示が競争上の不利益をもたらす主張した場合も、厳しい局面を迎えることになる。
TPPの紛争処理は、WTOとは違い、参加12カ国の下でパネル設置され処理されることになる。日本が経験したことがない紛争解決過程である。このようなTPPの下で日本の原産地表示制度が守れるのか。今回の米国のCOOLにおける牛肉、豚肉の表示除外の案件は、そのことを問うている。
(文=小倉正行/フリーライター)
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