さらに、14年5月26日には、当時経済同友会専務理事だった前原金一氏が文部科学省の「学生への経済的支援の在り方にかんする検討会」のなかで、インターンシップ制度をモデルにして、「奨学金返済を延滞し、職のない若者に1~2年自衛隊に入ってもらえば、その給料で奨学金の返済もでき、さまざま資格も取れて自立につながる」と提案しています。
大学生を予備自衛官補に勧誘
有事の際に、元自衛官などを召集して任務につかせる予備自衛官制度に、自衛隊経験のない一般国民を予備自衛官として育成する「予備自衛官補」という制度を拡大しようとしています。
これは3年間で50日間訓練に参加すれば予備自衛官になれる制度で、従来は社会人が募集の主な対象でした。しかし、今は大学生向けに予備自衛官補を募集しているのです。その漫画形式のフライヤーには、このような会話が掲載されています。
自衛隊「アルバイトは社会に出る予行演習です。よく考えて自分にプラスになるアルバイトを選びましょう」
学生A「自分は体力を活かせるバイトをしたいッス!」
学生B「受験勉強ですっかり虚弱になりました。バイトよりジムに通いたいです」
学生C「カテキョーとかコンビニとかフツーのバイトは俺、ぜってー無理」
学生D「やっぱバイトって出会いが一杯で! すてきな彼氏とか! つくりたいし!」
自衛隊「なるほど、そんな君たちお薦めのバイトは・・・これです!(中略)まずは試験を受けて予備自衛官になりましょう」
自衛隊が学生の予備自衛官補への募集に力を入れ始めた背景には、単に予備自衛官の充足率を高めようというだけでなく、卒業後の進路選択につなげる狙いがあると考えられます。
国益追求のための自衛隊
今年の防衛大学校の卒業式でも、「事に臨んで危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努めにあたる」と卒業生は宣誓を読み上げました。卒業式で安倍首相は、「これまでと同様、自衛隊にはリスクがある。そのリスクとは、国民のリスクを避けるためのリスクだ」と訓示しました。
しかし、これまでのリスクは、専守防衛で日本が攻められたときに侵略を排除するためのものでした。それが、これからは日本が攻められていなくても海外に出て、アメリカの戦争に参加することになります。しかも、その目的も変わります。