情報を公開した目的とは
アリババは、なぜわざわざこのような情報を公開したのだろうか。その狙いについて、上海でコンサルティング会社を経営する日本人はこう指摘する。
「アリババは、米ニューヨーク証券取引所に上場しているだけに、出品者をちゃんと管理しているという姿勢を内外に示さなければなりません。一番規制を強化しなければならないのは偽ブランドですが、これらは取引額や売り上げに大きく貢献しているため、あまり厳しくしたくないというのが本音です。偽ブランドへの規制はおざなりにして、その分、こうした消費者の反発が起きにくい商品を槍玉に挙げているのでしょう」
実際、サイト内を軽く巡回してみただけで、相場の半値以下で販売されているモンクレールのダウンジャケットや、ロゴにどこか違和感のあるナイキのシューズなど、怪しげな商品は枚挙にいとまがない。昨年には国家工商行政管理総局も、同サイトに出品されている商品の63%以上が模倣品であると指摘している。
ちなみに、アリババは今年4月、国際模倣対策連合(IACC)に加入したが、こうした現状が問題視され、わずか1カ月で除名されている。そんな不名誉も、同グループ創業者であるジャック・マー会長は気にするそぶりもなく、「中国製の模倣品は、正規品よりも優れている」と言い放っている。
さらに、規制されているはずの“変態商品”の数々も依然、販売されている。
たとえば、少女の唾液。「20歳の唾液」とうたっているものがあったが、10元(約158円)という安値。本人の写真がないにもかかわらず、4件の成約記録がある。
また、複数の出品者が扱っているのが女性の屁だ。「幸運を呼ぶ屁」として、最高66万6666元で売られているものもあったが、さすがにこれは本気で売ろうとしているとは思えない。販売実績があったのは1元(約15円)のものだけで、顔写真もないのに7件の成約記録があった。ちなみに、写真付きは10元(約158円)で売りに出ていたが、販売実績はまだないようだ。
アリババは、国際企業となっても中身は古くからと変わっていないようだ。
(文=中山介石)